天に遊ぶ

個数:1
紙書籍版価格
¥605
  • 電子書籍
  • Reader

天に遊ぶ

  • 著者名:吉村昭
  • 価格 ¥528(本体¥480)
  • 新潮社(2013/04発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101117454

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せられた。ふたりの交際をあたたかく見守る周囲をよそに、男は彼女との結婚に踏みきれない胸中を語りはじめる。男は、独り暮らしの彼女の居宅に招かれたのだった。しかし、そこで彼が目撃したものは……(「同居」)。日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、言葉には出来ない微妙な人間心理を浮き彫りにする、まさに名人芸の掌編小説21編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

103
吉村昭さんのショートストーリーを収録。既読の長編に纏わる作品もあり、既読作を思い出しながら読了。「ニコライ遭難」の津田三蔵巡査の係累が受けた苦難。最後の津田三蔵の墓の小ささに哀惜がある。「桜田門外の変」での主人公が得ていた病。梅毒説に子孫は悩んでいたが、吉村昭さんの調査で糖尿病と分かり安堵する。「鰭紙」が最も印象に残る。天明の飢饉で苦しんだ旧南部領を取材に訪れる。旧家で資料を読み、ある人物の記載を知る。その人物の裔が現在も旧南部領に住み暮らす。昔から今に人々の営みが続いていることを実感する。興味深い作品。2022/04/29

キムチ27

90
巷間よく言う「短い文に纏め上げる時こそ才能が際立つ」のお手本。私なんか駄文愚文の体たらく。枚数10枚の超短編の技巧に酔いたい方にはうってつけ。昔、星新一という作家さん、ショートショートのジャンルで有名だったがそれとは一味異なる吉村ショート。どれも素晴らしいが「同居」~大型犬と同居する美人の謎・「鶴」~桁外れな年上との性の終焉、腹上死・「紅葉」~山奥の捜査に提灯を使用する情景と中年男女、すすり泣きは うっ、たまらんの世界。昭和の半分はリアルタイムで息をしていた為、解るだけに描写が淡々としつつの濃い内容は唸る2020/08/23

タツ フカガワ

88
「今思い返してみると、なぜかわからぬが、何としてでもその超短編を書きたい気持ちがつのり、すぐに電話をかけて、ぜひ書かせて欲しいと頼んだ」(著者あとがき)というのがこの21の超短編集。どれも400字詰め原稿用紙10枚ほどだが、そこに描かれる世界、人物や彼らの心情はどれも鮮やか。吉村さんと重なる作品も多く、そのどれもが砂粒ながら宝石のような輝きを持った作品集でした。2022/05/26

びす男

88
短い文章ほど、書くのは難しいとされる。要素の取捨選択がシビアになり、言葉の割き方を少し変えるだけで印象がヘソを曲げるからだ■この短編集は「原稿用紙10枚程度に、一つの小説世界を完結できるか」というチャレンジングなもの。著者は「天に遊ぶ」心持ちで書いたというが、構成から推敲まで、相当神経を使っただろう■終始静かな掌編でも、登場人物の心のさざ波が味わい深かった。人生の重みを伝える筆力があるからできる芸当だ。不思議に思う。なぜ彼らの悲嘆や苦悩を、ずっしりと感じられたんだろう。こんなに短い文章で。2018/07/15

mondo

83
「天に遊ぶ」は吉村昭が挑戦した原稿用紙10枚の超短編21篇を綴った作品。多くが吉村昭の手掛けた小説の取材に関連したエピソードになっている。また、どこかのエッセイで見かけたことのある筋書きだったりするが、確かに長編でもなければ、エッセイでもなく、人間の心を描く短い小説となっている。小生は片道15分の通勤電車が唯一の読書タイムなので、この長さで一つの小説を読み切れるというのはこの上ない。中でも「観覧車」は男の心理を気持ちが揺さぶる作品だと思う。2021/03/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/538772
  • ご注意事項