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内容説明
国史研究史上、初めての発見! 「金沢藩士猪山家文書」という武家文書に、精巧な「家計簿」が完全な姿で遺されていた。仕事は経理、小遣い5840円、借金地獄、リストラ……。タイム・カプセルの蓋を開けてみれば、江戸時代史や日本近代史の見直しを余儀なくされる驚きの連続。気鋭の研究者による意欲作。
目次
第1章 加賀百万石の算盤係
第2章 猪山家の経済状態
第3章 武士の子ども時代
第4章 葬儀、結婚、そして幕末の動乱へ
第5章 文明開化のなかの「士族」
第6章 猪山家の経済的選択
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
281
幕末期の武家の家計簿から当時の実情や御一新での士族の動向が手に取るように分かって面白い。武家は思った以上に儀式しきたりを重視してたのだなと知る。私のご先祖様も家計簿はないけどこういう感じだったのかなと想像を巡らせた。2019/10/12
Nobu A
162
磯田道史著書初読。03年初版、15年第54刷。映画化されたタイトルを耳にした時には興味は湧かず、先日読了の「国家の品格」にも言及され、手に取った次第。最近「侍ジャパン」等、侍を冠した表現がよく使われるのも理由の一つ。あとがきにある「歴史とは過去と現在のキャッチボールである」を見事に顕在化した著者。歴史は決して無味乾燥な暗記ものではない。御算用者としての武士の当時の生活を過去と現在を往来しながら立体的に描写。13歳で仕事始め、高い離婚率や送料、お試し期間付き婚活と従兄弟婚等、驚きと共に非常に示唆に富む。2023/04/08
またおやぢ
154
教科書に出てくる人物のみが歴史上の登場人物ではない。また、名が残っている人々であったとしても、後世に語り継がれているのはその人物が輝いた一瞬の光芒に過ぎない。記録が残されていて始めて、時代を支えてきた人々の日常の姿が浮かび上がってくる事を、加賀藩に仕えた武士の家計簿が教えてくれるのが興味深い。世の中の価値観は、時代の変遷と共に変わり行く事を、幕末、維新時、明治の時代を生き抜いた一族の記録が詳らかにしているが、であるからこそ、自分の信じるもの、守るべきもののために懸命に生きることが大事であると示唆する一冊。2016/10/23
射手座の天使あきちゃん
153
坂本龍馬や西郷隆盛の伝記は皆知ってます、大石内蔵助が残した赤穂藩始末費用内訳も見たことあります、が・・・ 猪山家? それ誰!? それは、幕末の加賀百万石、ソロバン勘定で身を立てた普通の武士の三代にわたる物語です。教訓が沢山ありました。 それにしても写真にある「アラビア語」みたいな文書が良く解読できますねぇ、お見事 磯田さん!(笑)2011/01/22
B.J.
134
ホリエモン著書「情報だけ武器にしろ」に載っていた推薦書の一つ。2020/02/27