内容説明
第25回文藝賞受賞!伝説の作家のあの「血のたぎる傑作」が遂に電子化!
自然の息吹とボクサーの鼓動が響く名編。故・江藤淳氏が文藝賞の選評で「いつの間にか引き込まれていた」「現代の只中に活きている」と語った、伝説の作家の出世作が遂に電子化。負け犬同然にリングを去ったミドル級ボクサー・新田駿一は、当てもなく帰った故郷の島でジムの会長の訃報に遭い再起を決意した―。文藝賞受賞の表題作他、小説現代新人賞受賞のデビュー作など、著者の現代小説すべてを収録した決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mike
43
ミドル級2位のボクサー新田駿一。彼はジムの会長の考え方に反発し、自暴自棄になってリングを下り、島に帰ってきた。そこで初めて、島の人達の期待やジムの会長を始めとする自分に関わってきた人の熱い想いに気付かされ、再びリングへ戻ってくる。ベタな話だが、一度ダウンした者が立ち上がろうとする話は大好き。再起をかけた試合の緊迫感、臨場感半端ない。控室でバンテージ巻き、リングへ続く廊下を通る辺りから、もう私も駿一のセコンドになった気分だった。2022/04/22
hanchyan@では今持っているもので考えよう
40
収められた3つの中短編は現代を舞台にしており(つっても80年代中~末期の発表なので)時評的なニュアンスも仄見えて興味深い。全体的に「高倉健さんが出演してるATG映画」のような印象で、「そんなものがあったら一食抜いても観たい!」と夢想するようなむき(自分だ)にはもう、ハンカチ必須、だがティッシュまでは不必要、この塩梅がまたしみじみと良い。デビュー間もない時期の作だけに、大傑作「始祖鳥記」に比してダイアログや語り手の心情にステレオタイプなのが感じられるものの語りの妙はやはり素晴らしい。とてもとても面白かった。2017/10/16
*maru*
16
【地元山形県出身作家の作品を読もう その4】中編(1話)短編(2話)。“再生”を描いた作品。表題作はミドル級のボクサー新田が挫折を味わい酒に溺れるが再起を誓い再びリングを目指す話。新田同様、痛みを知る人達が深い信頼と愛を持ってサポートし故郷の島の記憶が新田を奮い立たせる。ファイトシーンは頁を捲る手に力が入り震える程の臨場感。脳内変換機能によると新田は完全に鈴木亮平。短編2編も良かったけど表題作が素晴らしすぎる。言葉にならない感動が静かに体内を駆け巡る傑作と呼ぶに相応しい作品。2016/07/27
HoneyBear
14
大好きな小説。特に第一話のボクシング・シーンが凄いというか凄まじい。小説でこんなに高揚感を感じるとは。
藤枝梅安
10
5年ぶりに再読。鹿児島県宝島で生まれた主人公はボクサーとして華々しい活躍を夢見ながらストイックなまでに自分を追い詰め、アルコールに溺れ、廃人寸前になる。しかし、傷心のまま戻った生まれ故郷の島の風景と人々に癒され再起を果たす。簡単に書いてしまえば、そういう話なのだが、ボクシングの描写が凄い迫力だ。文体もワン・ツーパンチのように読者に息つく暇を与えない。2009/05/31
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