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内容説明
九・一一以後、世界は戦争に向かって地滑りを起こしているのかもしれない。こうした状況にあって、ともすると人は戦争が生み出す悲惨な現実に慣れてしまい、正気を失ってしまう。まやかしの論調にのせられないためには、戦争に関する最小限の議論を知っておく必要がある。戦争抑止の道を探る戦争倫理学の試みである本書は、同時多発テロに端を発する米国の軍事行動、ロールズの原爆投下批判、憲法九条問題などの重要論点を整理しながら、戦争について冷静に考え、実りある議論を行うための重要な手がかりを与える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Mealla0v0
3
タイトルが示す「戦争倫理学」とは、「正しい戦争とはなにか」という「正戦論」である。いかなる事態において戦争は倫理的に正当化されるのか、という問題設定。歴史的には正戦論の系譜はローマ教会の権威に遡る。だが、近代にはその宗教的権威は失墜し、主権国家の競合という国際秩序が形成されるが、この体制は世界戦争を抑止できなかった。戦後、国連などを通じて戦争権としての国家主権を制限する動きが生まれたが、いわゆる「テロとの戦争」においてこの反動が生じている。ここにおいて平和をどう基礎づけるのか。これが問われている。2020/05/18
オランジーナ@
3
示唆に富む本だった。永遠平和を目指して人類が何ができるだろうか。要再読。2017/10/18
大道寺
3
反戦の立場から、ただし戦争が嫌なばかりに戦争を議論することすら避けるのではなく、戦争の開始や遂行について倫理学者として議論を行っている。元は別々に掲載された文章の寄せ集めなのであまり体系立ってはいない。戦争に関する古今の議論について触れていく端緒とするという程度のつもりで読むのが良さそうだ。/『現代倫理学入門』でも感じたことだが、あまり良くない意味で、暑苦しいおじさんの説教を聞いているような感じがある。2013/06/19
田蛙澄
1
戦争は国家の権利だとする無差別主義と一切の戦争はなくすべきとする絶対的平和主義の間で戦争限定主義が出てくるが、これも結局はどこまでで限定されるべきかという点や、戦争権の否定と武力行使の容認という点で両陣営から批判される。決定的な立場を定めることの難しさ、また超国家的な体制がないゆえの不正な武力行使への制裁の困難さなどが示されつつも、途中のカントの永久平和論の箇所で段階的な軍縮による各国の武力放棄しかないのではと希望を語ってる点がやはり重要でありつつ、民主国家さえ好戦的でありうる点で理念にとどまる。2022/10/10
脳疣沼
1
現行制度では戦争を止めることなど土台無理な話だということが分かった。将来的にはテクノロジーが解決してくれるのだろうか?2015/10/15




