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内容説明
年間、一兆数千億円に上る日本のODA(政府開発援助)支出。不況と財政赤字に苦しむ国が、なぜこれほどの公的資金をつぎこむのか。認知も感謝もされていない、総計三兆円超の対中ODA。日本以上に整った巨大施設。貧しき村へは届かない援助。一党独裁国家・腐敗政権への資金供与……。本書では、中国、ベトナム、ケニアを例に疑惑と矛盾だらけの実態をレポート。同時にこうした結果を導く、「無償と人道援助が少ない」「冷戦後も唯一同じ路線をとる」などの日本の特異な対外援助システムを指摘。「ODA基本法の制定を」「要請主義から自主主義へ」「対中ODAをゼロ・ベース予算に」「支出半減」など具体的提言を通して、ODAの意義を根本から問い糾す。
目次
プロローグ ODAショック
第1部 アメリカのODA戦略(自国民の利益のために 戦後アメリカのヨーロッパ復興援助 ほか)
第2部 「ODA超大国」日本の実態(被援助国から援助国へ バブルODA ほか)
第3部 実例・疑惑と矛盾のODA(矛盾だらけの対中ODA 中国へのODA供与は必要なのか ほか)
第4部 ODA再考(対中ODAゼロ・ベース予算の提唱 ODA外交の虚実 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
牛タン
2
そもそも論としてODAは援助と成果の因果性が明確でない。日本のODAに限定すると、冷戦構造下での反共政策、経常黒字の還元という2つの意味がなくなった。特に現状の援助は、基本法がなく拘束力のない大綱しかない、大綱の原則も守られていない、要請主義で日本の独自性がない、一貫した理念や政策がない、無償が少ない、関与省庁が多すぎる、民間への援助が少ない、外交の一部として機能していない、外部監査制度の不在などと批判。具体例に共産主義国の中国、ベトナムへの援助や独裁政権のケニアへの援助を挙げる。2019/03/18
Hayato
0
ODAって善業みたいだけど、元はと言えば日本人の血税だから本当はもっと戦略がないといけないし、怒らないといけない部分だなと思った。2015/08/21
taming_sfc
0
古森義久氏による2002年の著作。中国の台頭、日本の経済的不況、鈴木宗男氏の一連の問題、といったこの時代の背景もあって、ODAに対する非常に厳しい批判・改善点の提示、がなされる。特に、中国、ベトナム、ケニアなどに対するODA供与に対する批判は、舌鋒鋭く、この種の立場の意見があることを十二分に踏まえて今後の国際環境協力のあり方を考えるべきだと痛感した。著者の批判的視点に全面的に賛意を表すものではないが、こういう意見が他方であることでODAについての国内の議論が深まるのだろう。2010/11/13
kk
0
日本のodaは他の政策同様現状維持の考え。過去の予算、政策を踏襲が主。欧米同様、本当に必要な支出に絞り適宜、支出金の大幅な見直しが必要だろう。