内容説明
美しい日本語で読む、暮らしのなかの愉しみ。手紙や着物など日々の事ごと、露伴・文の思い出をいきいきと綴る。なつかしい人の絵手紙。下戸の好きな酒の肴。道端でよく会う老トラ猫。青木玉は、なによりも生活の巧者である。日々をていねいに暮らすなかで見出される、小さいけれどもかけがえのないことごとを、祖父・幸田露伴、母・幸田文と過ごした小石川の家の3代の思い出とともに、みずみずしく綴るエッセイ。(講談社文庫)
目次
手もちの時間
泣くお椀
しもやけ
飲めるかな
二日の月
小さいとき
繕いもの
種を持つ花
しまった
土膏動く
花吹雪
千代紙
着たいもの
足もと
蕎麦の酒
離れる
光の中
たけのこ
丁寧な暮し
ホットケーキ
クリームソーダ
腰抜け休日
トラチャン
手
半年
過ぎた時
梅雨ぞらの下に
夏すがた
露しば
掛け声
イグアナ
お菓子と子供
お土産
楽しさの末広がり
豆電通学
ひととき
人を育てる
くせ
罰
小林さんの絵手紙
むかし正月
十年振りのお正月
江戸小紋
美しく丹念な道楽
小さな旅
みんなでした旅
お揃い
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naotan
3
四季折々を通して語られる表現力豊かな文章にホッとした。特に食べ物がおいしそうw2015/06/20
てくてく
3
美しい文章とはこういうことを言うのだろうかと思わせるエッセイ集。単に幸田露伴や幸田文のゆかりの人物による回想に留まらず、この人自身のものの見方に好感をもった。こちらから読んでしまったが、最初にまとめた「小石川の家」を読んでみたい。2014/10/03
こまっちゃん
2
丁寧なくらし、美しい言葉。自分には無理だと分かっているのに、お番茶を焙じる焙烙が欲しくなりました。次は玉さんが手がけた幸田文全集を読んでみようかな。2015/08/27
miya
2
そういやワタクシ幸田露伴の作品読んでないかも。忘れただけか?ほうじ茶について書かれた文が美味しそうでお茶をほうじて飲む生活に憧れ。2010/12/14
あ げ こ
1
思いを寄せたすべての物事を優しい眼差しで見つめ、その一つ一つを丁寧に語る。ゆっくりと穏やかに流れる言葉。小気味よい幸田文の随筆とはまた違った魅力を持つ。『流れる』執筆当時の裏話、見覚えのある白い紬とにび色の話…母親への深い愛情が見えるものは嬉しい。だが彼女自身の色がしっかりと出ているものも読んでいて楽しい。自分の最も愛する幸田文作品が、青木玉の強い希望により世に出たものである事を知った喜び。読める幸せを噛み締める。2013/06/23