内容説明
江戸の町を高波が襲った夜、当代の人気絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。歌麿の幕府風刺を憎む上からの圧力に抗いつつ、事件の真相を追う南町奉行所の同心・仙波。仙波の前に、やがて明らかとなる黒幕の正体と、歌麿のもう一つの顔とは!? 時代はまさに「鬼平」こと長谷川平蔵が火附盗賊改(ひつけとうぞくあらため)の重職を担っていた当時で、鬼平もたっぷり登場します。浮世絵を愛する著者が、江戸の町が見えるように生き生きと語る、恋あり仁義ありの傑作時代ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
65
歌麿や北斎が登場するなら読んでみようと、650ページの厚みには抵抗がありましたが、シリーズ1作目にチャレンジしてみました。ミステリー仕立てで犯人当ての楽しみもプラスされた時代物で、さすが高橋さんと思わせる濃い内容でした。時代劇の醍醐味を味あわせて貰える凄い黒幕や、時代背景もこの作品をより魅力あるものにしてくれる重要な要素でした。しかし、やはり650ページは分厚すぎて何度も挫折しそうになり、読了出来てホッとしてます。と言いながら、シリーズ2作目も読みますけどね。2012/06/12
はつばあば
59
思わず高橋さんて平蔵さんも定信さんも嫌いやったのかしらと。そりゃそうよね、高橋さんの大好きなこの時代の浮世絵師や狂歌師を迫害したのですものと納得。そういえば今の政治家も情報統制を・・高市さんが言っていたような。面白かったです。歴史のすき間を埋めてくれるこの作品。分厚いですが読み終わるのは一瞬(^^♪。このだましゑの次に「おこう紅絵暦」、一息ついて「京伝怪異帖」で「春朗合わせ鏡」を読めばいいでしょう。でもどれから読んでも「あの人やこの人とまた出会えた」と嬉しくなります2016/02/23
ひらちゃん
30
重かった~(笑)じゃなくて面白かった~!だって分厚いんだもん。千に一つの目溢しもない、だから千一。かっこいい(//∇//)歌麿、鬼の平蔵、老中定信に蔦屋など。実在の人物に史実が織り混ぜられながらのミステリー。民から見た定信の倹約ぶりを捉えたとこなんて逸脱。次は春朗(後の北斎)か、楽しみが増えましてござる。2016/02/06
icchiy
28
わぁ~おっ^^ これ最高に痺れました! 江戸時代ミステリーの最高峰ではないでしょうかね。蘭陽がまだ出てきていないのでおちゃらけもなし、バリバリ硬派な時代ものミステリー。結構話もえぐいっすね。それにしても主人公千一さん、そして春朗、歌麿、蔦屋、おこうに左門、そして鹿さん。脇役もいい味を出しており、一気読みでした。これがこのシリーズの最初ということでしたが一番最後に読んでしまった^^ なんだか江戸時代のハリーボッシュ風っす。千一さん。 2016/02/25
sin
22
このシリーズ「おこう紅絵暦」から読みはじめて「源内なかま講」まで読んでからこの本に至った。先に読んだ短編はよく出来ているが読み足りぬものを感じていただけにこの一冊の長編は十分の満足のいく読み応えのあるものであった。善悪は人の匙加減、今も昔も政治家とは勝手な物である。2013/09/19