内容説明
「おれを殺したりはしないよな?」「だめか?」「やめてくれ。永久にムショ暮らしだぞ!」「おれはまだそれほど歳じゃない。何年か無駄にしたっていいさ」殺人罪で11年の刑務所暮らしを終えた元私立探偵のクルツは、すぐにファリーノ・ファミリーのドンの邸宅を訪れる。高齢のドンが負傷して以来、弱体化してしまったファミリーのトラブルを解決してやろうというのだ。1カ月前、ファミリーの内情を熟知している会計士が失踪した。時を同じくして、ファミリーの生命線である密輸事業に妨害が頻発する。荷物を運ぶトラックが次々とハイジャックされるのだ。対立組織の差し金か、FBIの介入か、あるいはファミリー内部の裏切りか。背に腹はかえられないのか、ドンはクルツのオファーを受け入れる。だが、調査に着手したクルツの背後に、早くも殺し屋の影が…。正義か?悪か?鋼鉄のハートと腕っぷしで街の暗部を叩き切る、非情の男ジョー・クルツ。SF&ホラーの鬼才が挑む、ハード・アクションの会心作。/掲出の書影は底本のものです
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to_chan
9
「ハイペリオン」や「イリアム」のダン・シモンズがハードボイルドアクションなんぞ書いたら、さぞかし濃厚で綿密かつ多重構造のトンデモ面白展開が…………って、おい、普通じゃん!あっさり短く、1本の映画みたいなサイズ感。過剰な人物描写もなく、アクションてんこ盛りで最後まで。面白かった。でもこの作者だと、この内容で上下巻1000ページみたいなのを期待しちゃう。2023/02/14
syachi
5
ハイペリオンのシモンズ先生によるハードボイルドもの。かなりのスピード感とアクションでさくっと読めてシャンシャンといったところ。そんなに期待してなかったけどもったりとしたハードボイルドものよりはこっちがいいね。これのシリーズがあるのと他にもこういうの書いてるみたいだし読んでみよ。2015/10/01
魔魔男爵
5
女を殺された私立探偵が免許を失うのも構わず復讐の殺人鬼になるというよくあるパターン。復讐は復讐を呼びアクションが連鎖するが、あんまり芸のあるアクションは無い。福本伸行以下。ダイハードにも負けてるかもしれない。シモ公は全作必読かと思ったが、これは無理して読まなくていい感じ。2009/09/18
タナー
4
この作家の作品は2作目。読書メーターを始める前に「雪嵐」を読んでいるのだが、今作は同じくジョー・クルツが登場するシリーズの第1作。 殺人罪で11年も刑務所に入っていた元私立探偵のクルツは、ファリーノ・ファミリーのドンのもとを訪れる。高齢のドンが負傷し弱体化したファミリーのトラブルを解決してやろうというのだ。会計士の失踪、密輸事業の妨害、等々で悩まされていたドンはクルツのオファーを受け入れ、クルツは調査に着手するのだが...。アクション・シーン満載の傑作ハードボイルド!2016/04/24
gentleyellow
3
ハードボイルドな男がハードボイルドに仕事をする、というだけで安心して読めた。ひたすら慎重な主人公がとにかくかっこよく、只管わるい悪役や、フィクサー気取りのギャングがばんばん死んでいくのがスカッとする。古臭くも良質。ダン・シモンズ、元ネタの詩とかなくてもSFでなくてもこういうの書けるんだな。さすがです。2016/11/15