内容説明
ロングセラー『「聴く」ことの力』で哲学の新たな地平を拓いた著者が、純粋・所有・国家・宗教などをテーマに思想史の次元に切り込む。
目次
1 所有論の季節
2 全体という擬制―“国家”の存在をめぐって
3 “純粋”というレトリック
4 わくらばに―宗教的なものと偶然性の感情
5 “わたし”というトポス
6 危機と批判―二十世紀の文明批評とその時間意識
7 「豊かさ」のみすぼらしさ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nrk_baby
4
何でもあり、の難しさを感じる2014/09/12
red herring
1
とてもむずかしい。完全な理解にはフッサールとかレヴィナスあたりは既習であることが必要だと思う。ただ、断片的には理解できたし、言語能力の向上にはやはり鷲田清一先生はもってこいだと思う。2020/12/09
綿貫
0
癒しを求める社会、穢れなきもの求める風潮(このあたりは国語の教科書や試験に出てそう)から、自己の所有とは、国家に対して均一物へと還元されていく個人、他者との出会いの切迫が与える尊厳、宗教における必然と偶然、モダンとポストモダンの関係と時間というもの、などが絡み合い、現代社会の諸問題と古典期からの哲学の間で急上昇と急降下を繰り返しながら、問題の生じる根源──すなわち思考するわたしたちの根源を探る。私にはところどころ難解で難渋する部分もあったけれど、常に切れ味鋭い良書だと思う。2015/07/17
読書家さん#cawdKC
0
Kindle2021/04/21
高橋直也
0
普段読むことのない哲学の本を手に取るきっかけなどは簡単なことなのだと思う。図書館で借りてきたのだが、表紙に植田正治の写真を使っていたから。そして「時代のきしみ」という音が聞こえている気がしたから。いろいろな事象を受け入れて私たちは生きているんだなぁ。この時代のここにいることをうれしく思う自分に気付きました。2020/02/12