ちくま文庫<br> ヴェニスの商人 ――シェイクスピア全集(10)

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ちくま文庫
ヴェニスの商人 ――シェイクスピア全集(10)

  • ISBN:9784480033109

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内容説明

もしも借金が返せないのならば、約束通り貴方のその体から1ポンドの肉を切りとらせろ――。ユダヤ人の金貸しシャイロックがアントーニオに要求した証文が現実となった。それに対してヴェニスの法廷が下した驚くべき判決とは? そして裁判官の正体は? 商業都市ヴェニスとロマンティックな愛の町ベルモントを舞台に、お金とセックスの隠喩をちりばめて繰り広げられる、世界で一番有名な喜劇を鮮やかな最新訳でどうぞ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

145
子供向けの本を読んだことはあったが、とても怖いと思った記憶しかない。大人になってから、シャイロックという名前と肉1ポンドという知識だけが加わり、肉を切り落とす残忍さに対して恐ろしさを覚えたのかと思っていた。全く違うでは無いか。シャイロックの嘆きを聞こう。ユダヤ人が金貸し以外に何ができたか。ユダヤ人だからと足もとを見られたことも何度もあっただろう。こんな人間を作り上げたのはキリスト教徒ではないのか。ボーシャの指輪の話に至っては嫌悪感しかない。シャイロックの独白を通じ、多角的見方をさせるシェイクスピアに脱帽2022/01/05

KAZOO

94
当時からユダヤ人は差別されている様子が伺えます。シェイクスピア作品の中でも好きな人が多いのでしょうが、ドラマ性が多いからなのでしょう。結構せりふも小気味よくて楽しめます。私は劇は見ていないのですが、映画ではいくつか見ていて数年前に見たシャイロックをアル・パチーノがやっているのがぴったりで今も印象に残っています。2015/08/25

クプクプ

84
2004年に30代で北杜夫の『どくとるマンボウ航海記』を読んで読書にハマった私ですが、今回の『ヴェニスの商人』は船乗りも出てくるので、懐かしさを感じました。確かに私は『どくとるマンボウ航海記』が好きですが、いつまでも同じ船に乗っていなくてもいいと気づいた読書になりました。『ヴェニスの商人』は文章が平面でなく立体的に見え、登場人物の動きが手に取るようにわかりました。私はヴェニスに行ったことがないですが、この作品の良さは理解出来ました。松岡和子訳のこの本が出版されたのが2002年なので時代背景もプラス要素。2023/04/18

みゆき・K

20
これは良かった。アントーニオは友人の急場を救うため、ユダヤ人の高利貸しシャイロックから借金。もし返済が不可能になったら、その体から1ポンドの肉を切り取る。この証文が現実になった。さて判決の行方は?最初は「これぞ大岡裁き!」と拍手したくなったが、そうではない。一見勧善懲悪ものと思いきや、その根底にあるのはユダヤ人への宗教的迫害ではないか!そう思ったら、アントーニオやバサーニオの男性陣が不甲斐なく見えてきたし、ポーシャは夫の愛を試す嫌な女に思えてきた。見る側によって悲劇にも喜劇にもなる深い作品だ。2022/04/19

miki

17
ユダヤ人という点で興味を持ち読んだシェイクスピアの戯曲。シェイクスピアはこれがウケるとわかっていて書いてるんだな。当時の人種差別が色濃く表されている作品だと思う。けれど描かれるユダヤ人、シャイロックはどこか喜劇性も持ち合わせていて、そこが滑稽でもありおかしみと哀しみを感じた。2015/07/27

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