内容説明
「わたしは生きることに、いやらしいくらい欲が深いのだと思う」作家・灰谷健次郎が興味のおもむくままに、海、からだ、沖縄・渡嘉敷島、友愛、漁師、死、アメリカ、もの書きの業、やんちゃ坊主の詩、結婚式などについて語り始める。「悩むのも一つの誠実さかもしれないが、よくわからない部分をしっかり面白がることがあってもいいんじゃないか」いのちのあり方を探りながら、あたたかいユーモアで包み込む感動のエッセイ集。
目次
満願
二つの結婚式
人間の輪
職業の今昔
もの書きの嘆き
なんだかわからない
含羞の文学
行動する老人
牧口さんのこと
遊美術〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
26
「ものを書いて、他人を傷つけると、これはもう地獄行きだと思って気が滅入る」(35頁) 「建国の歴史が先住民虐殺の歴史そのものであり、黒人に対する白人の差別と暴力主義は容易に克服されず、銃社会がしめすように、生命に対するこまやかさのきわめて乏しい国というのが、わたしのアメリカ認識だった。」(85頁) 「本はなくても子は育つが、育ち方はだいぶ違うというのが、わたしの見解である。」(90頁)2015/08/13
マット
0
思想が偏って、一方向からしかみえていない点は割引。反権力とか弱者の視点だけが正義じゃないよ。2017/06/02
Maiko Araki
0
戦後卑屈な思いをしてから「アメリカ嫌い」。倫理性のない政治家、環境破壊、学校をとりまく窮屈さとマニュアル化された社会、よい消費と悪い消費。各々が「子ども」につながっている。 本についての文章が心に残った。「本はなくても子は育つが、育ち方がずいぶん違う」「本を読むことによって与えられるのは無限の自由」。本当に、子どもがどう育つかは国や世界の未来そのもので、一銀行を救うより大切なはず。大企業には減税し、大学の予算は削減する、最近のニュースと重なる。目に見えないものの価値は見えにくいけれど、影響は計り知れない。2015/12/11