良心の危機 - 「エホバの証人」組織中枢での葛藤

個数:1
紙書籍版価格
¥4,180
  • 電子書籍
  • Reader

良心の危機 - 「エホバの証人」組織中枢での葛藤

  • ISBN:9784884161026
  • NDC分類:198.99

ファイル: /

内容説明

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

宗教組織の権威は、他の人のために奉仕するものであるはずなのに、人の上に立って支配することに熱心になってしまう。一方、支配される側は、自分の良心に照らして納得できない時、抵抗を試みる。これを極めて率直に、具体的に語っているのが本書である。「エホバの証人」として知られている宗教団体内部での記録であるが、問題の本質は、世界のいかなる宗教団体においても当てはまるだろう。
1870年代、ペンシルバニア州ピッツバーグに生まれた「聖書研究グループ」はごく小規模なものだったが、今日の「エホバの証人」は、およそ200力国に約550万人を数える。その中心をなす「ものみの塔協会」が新しい本を出版する際には、通常100万部がまず出版され、さらに何百万部という増刷が続く。その活動が盛んな国であれば、家にやってくるエホバの証人に遭遇したことのない人は、まずいない。ところが、この宗教組織そのものについては、詳しいことがほとんど知られていない。そればかりか、エホバの証人たち自身、自分たちの組織でいかにして教義や方針が決定されるのか知らない場合がほとんどである。すべてを統括する中枢機構、「統治体」での会議の模様は秘密のヴェールに覆われている。その会議の結果が、世界数百万のエホバの証人の生活に影響をもたらす。
著者は二代続いた信者の家に生まれたエホバの証人三世である。世界各国を巡りながら、この宗教組織のあらゆるレベルで60年間活動を続けた。最後の9年間は中枢機構「統治体」のメンバーとして活動した。権力中枢の内部で経験したこの9年の月日が、「良心の危機」をもたらしたのである。これは、他に類を見ない記録である。
この宗教団体内部でいかに物事が決定され、それがいかに全エホバの証人の生活に影響するかが、生々しく、ありのままに語られる。
著者の態度は冷静であり、観察の目は鋭いと同時に暖かさに満ちている。読者は、胸が痛むと同時に、自分自身の良心が語りかけられていると実感するだろう。
本書がはじめに書かれたのは1983年であるが、この第3版では新しい資料なども追加されており、今も同じパターンが繰り返されていることが明らかになる。初版発行以来、問題の本質はまったく変わっていないのである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

CCC

8
告発的な内容ではあるが話は基本記録ベースで、聖句、内部文書、発言の引用が多い。自身が見てきたラッセル~統治体への権力移行の流れ、教団の指針の矛盾、1914年についての教義の歴史修正主義的な解釈の変遷、組織の解釈への疑問を口にした者への粛清とその流れなんかが主なトピック。教団批判の本では珍しく内部の言葉、ロジックで書かれている。教義や組織の論調がわからなければ理解しづらいかもしれない。なので信者向けに近い内容かも。ただ信者は反対者には目を背けるよう推奨されているので、そこに届くことはなかなかないだろう。2023/12/05

なめこ

1
小学校中学校と比較的仲の良かったクラスメイトにエホバの証人2世が二人いた。キリスト教に興味を持っていたので出版物を見せてもらったり度々そういう話をした。当時の自分の薄い聖書知識でもなんともいえない違和感を感じて入信したりすることはなかったのだけど、あの違和感は何だったんだろう?とずっと疑問に思っていてこれを読んでみた。仲間内だけで通じるような言葉や概念が頻繁に出てくるので、ネットで用語を調べてなんとか。教会は建物ではありません、人を見るのではなく神を見なさいという言葉の重要性が分かるなぁ…。2016/08/21

ジュリアン

1
アーサー・ミラーの『るつぼ』やロバート・ボルトの『すべての季節の男』アーウィン・ウィンクラー監督の映画「真実の瞬間」に描かれる怖さと怒りを感じた。組織の暴力、論理が通じないということの背筋が凍るような怖さ。これは現代の魔女狩りであり、赤狩りであり、ガリレオ裁判である。2016/04/16

マイケル・タクマ・ヤン

0
少なからず接点があり知人もいる。彼らは神でなく組織に忠実と感じる。そんな疑問があったので、組織中枢の「統治体」にいた著者の話は興味深い。私が持つ多くの疑問に応える見解があり、読みごたえがある。人の組織である以上誤りは生じるが、地上唯一の神権組織という教義ゆえに簡単に誤りは正せない。終わりの日が幾度か変わってきたが、それら教義への疑義は排斥の危険がつきまとう。健全な批判ができず自ら考えることのない構成員を生む組織の論理は自滅へ向かう歯車であろう。この先信者は排斥を恐れず良心に従い自らの信仰を貫けるだろうか。2023/11/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/155488
  • ご注意事項

最近チェックした商品