満潮の時刻

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満潮の時刻

  • 著者名:遠藤周作【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 新潮社(2013/03発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101123370

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内容説明

突然の喀血により結核に冒されていることを知った明石。四十代の働き盛りで療養生活を余儀なくされ消沈する明石が入院先で出会ったのは、自分よりもさらに死に近い病人たちと、その儚い命の終焉だった。結核がまだ致命的な病であった時代、死の淵を彷徨い絶望と虚無に陥った男の心はどこへ向かったのか。生と死、信仰と救済。遠藤文学を貫くすべてのテーマが凝縮された感動の長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

82
突然の病から生死を見つめることになるのが印象的でした。入院生活の中で出会う自分より死に近い人、儚い命の消えゆく様。死の淵に立たされて彷徨う絶望感の中で、信仰が見えることだけが一筋の救済だったように思います。唐突にキリスト教が出てきますが、周作先生の背景を考えれば納得がいきます。周作先生の文学の全てが貫かれた作品と言っても良いでしょう。2018/04/22

びす男

64
病院に漂う生死の近さが、作品全体の雰囲気を形成している。生活すること、生きること。最後の方できっちりキリシタンの話が出ているあたり、やっぱり遠藤周作だなぁという感じ。主人公は「生活」に帰っていくが、入院中に感じた「眼」を見失うことはないだろう。ただ、そうまとめると、ちょっと陳腐な気がしなくもない。2016/03/15

活字の旅遊人

43
作者没後に出版された一作。解説によると「徹底的に手を加える」予定があったとのこと。大作家で既にこの世にいない方であるから、未だ発表できないとご本人が思っていたとしてももう止められない。読み手の僕たちもお金を払い、夢中で読んでしまうのだ。作者自身の治療療養体験から産み出されたいのちを巡る作品は、親しみやすさの中に大事なことを静かにちりばめ、そして作家のファンを唸らせる。なるほど、ここで繋がるか。長期入院になるなら、なったならベッドサイドに持っていきたい一冊だが、さてやはり医療は日進月歩。そこは全然違います。2022/07/25

優希

42
突然の病から命を見つめるというのが凄く刺さります。はかない命の終焉を見つめるほど辛いことはありません。結核がまだ命に関わる病であった時代に、死の淵に陥った男の心はどこを向いていたのか。生とし、信仰と宗教というテーマは、キリスト教作家である周作先生ならではの世界なのでしょうね。 2022/07/11

ホシ

28
肋膜炎を患い徴兵を免れた経験を持つ明石。働き盛の40代の彼は同窓会で級友の戦場での過酷な体験や戦死を聞かされ負い目を深める。その同窓会の席で明石は喀血。自身が結核に冒されていると知った明石は徴兵を免れた事の報いと闘病を誓うが病院では一人また一人と人が死んでゆき、闘病も壮絶を極めるのだった。▽遠藤文学を知る上で鍵となる作品です。解説にもある通り代表作「沈黙」と表裏をなす作品。大病を患い、長期の入院生活を強いられた経験がある方には深く訴えてくるものがあるのではないでしょうか。2019/11/21

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