内容説明
嘉永三年、黒船来航を三年後に控えた幕末の時代――佐賀藩士・佐野栄寿の心にあったのはただひとつ、当時最先端の科学技術で蒸気船を造ることだった! 大胆な戦略と心を揺さぶる「涙」で藩主を説き伏せ、超一流技術者からくり儀右衛門を巻き込み、日本初の蒸気船を造り出すまでの波乱の半生! 江戸から明治、そして現代まで通ずる飛躍的な技術革新の裏側に暗躍し、命を賭した男たちの熱き物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
choike-voike
2
初読はもう忘れるくらい前の再読。NHKの「龍馬伝」を見ているので、時代が重なっていて非常に興味深かったし、これが「火怨」など歴史物傑作を生んだ、高橋克彦最初の歴史小説と知って、感慨深かった。目の前ではなく、その先の未来のために生きる藩があったことに胸が熱くなり、日本と日本人を誇らしく思える一冊だった。佐賀を訪れてみたいと思った。また、長崎から海を眺めてみたいとも。2010/05/13
黒猿
1
4.3 幕末にどこよりも科学技術が進んでいた佐賀藩の男の話。 主人公ももちろんだけど当時の日本であそこまで科学技術を理解した藩主(鍋島??)がいたのが驚いた。2019/07/01
鵺
1
佐野常民の前半生を描いた小説。会話が中心。後半生も描いて欲しかった。2018/12/14
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1
幕末に開国を迫られ抜き差しならなくなった時,主人公の栄寿が,攘夷の為の大砲ではなく,その先で役だつ蒸気船,蒸気(機関)車に力を注ぐよう閑叟公に迫る場面は感動しました.熱い心を持った技術者とその良き理解者(上司)のやり取りには鳥肌が立ってしまいました."お前も燃え盛る火のひとつだ" なんて言われてみたい...自分も技術者と言われる職に就いていますが,栄寿や儀右衛門らのような熱い心を忘れてはいけないと痛感しました.2013/06/12