内容説明
私は誰?円柱形のボディに特殊ラバーの腕。プログラミングされた高度な知識と技術で、難病の子供や末期癌患者たちを介護すべく活躍を始めた〈ミキ〉。生と死が隣り合わせの現場で激しく揺れる心、なぜか甦る奇妙な記憶。私は本当にロボットなの?「自分探し」をするミキが“人間とは何か”を問う、感涙の近未来小説誕生!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
35
心を持つ介助ロボットの物語です。目覚めたときから病院内で入院患者のお世話を義務付けられた主人公は、患者らと接しながら自己の存在に疑問を持ち始めます。主人公が女性的でありながら、フォルムがフォログラムの頭に寸胴に車輪と、まったくの美形ではないところが良いですね。グロテスクで冷え冷えと陰気な雰囲気が独特の世界観をつくりあげています。ロボットもののテーマとしてはありきたりで、主人公は一体ナニモノかという結末は見えてしまいます。しかしながら、読み終えるとハートウォーミングなSFであったことに気づくのです。2019/03/25
coco夏ko10角
18
「くる」箇所がいくつも。最後にミキがだしたひとつの。2016/03/19
k16
11
目覚めると看護介護ロボットだったミキが患者と接することで人間とは、自分とはを考える自分探しの物語。 よくあるロボットの意識とはとも少し違って面白かった。 ただ中篇だけに物足りない感も。2021/03/22
gushwell
9
文庫本で150ページほどの短い話ですが、奥が深いです。舞台は近未来のホスピス病院。ここで介護ロボットとして働くミキが、次第に「自分はいったい何者か」と疑問を抱くようになり、介護を続けながら自分探しをする物語。生と死、人間としての尊厳について考えさせられる良い作品だと思います。なるほど幸せの貯金か。僕も沢山の幸せの貯金をして、その時を迎えたい。2015/01/12
リードシクティス
8
介護ロボットのミキはホスピスで難病の子供や末期癌患者たちと接していく中で、自分は何者なのかという疑問にとりつかれていく。『永遠の森 博物館惑星』が傑作だったので、それ以来注目している作家だが、この作品は佳作止まりといった感じで少々物足りない。ミキの正体については、序章を読んだ時点で大抵の人には予想がついてしまう類のものだったし、物語の語るところも、とてもいいことを言っているのだけど、きれいにまとまっているなという印象を出ない。あと、ミキの外見は、夜中の病院でひとりで目撃したら実際かなり怖いと思う。2014/01/28