内容説明
木工技術にたけた番匠を数多く輩出する飛騨国は税免除の一方、毎年、京での土木事業に従事していた――。新都・平安京の象徴たる羅城門造営のため、桑野の丹心以下五十名の番匠たちが京へ向った。悲惨な待遇と役人の酷使に耐える日々。そんなある日、丹心の娘・もず女が役人に凌辱され、さらに彼女の夫も殺害されたのだ! 番匠たちの怒りと不満が一挙に爆発する。澤田ふじ子の原点となった傑作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きくちゃん
1
澤田ふじ子の初期長編作品だそうである。律令の時代、国家の威信をかけた羅城門建設のプロジェクトに題材を取り、そこに携わった人々の姿を為政者と実際に造営に当たった人々の両観点から描いている。完成後、数十年の後に倒壊したこの大建造物をある種のミステリー仕立てにしているところは作家として非凡。国家の揺籃期に繰り広げられたであろう様々な人間模様を庶民の味方に立って好意的に描かれている。いつの世も支配者の行跡は虚飾に彩られるが、実際のところはどうだったのか?そんな疑問に答えるひとつの解答ではある。2017/08/07




