内容説明
ぼろぼろの守護天使たちがわたしにつきまとう……。人生のすべてをかけた劇団を失い、世捨て人のように暮らす劇作家ミチル。絶望の果てに、彼女は天使の幻覚を見るようになる。この天使たちを葬るために――。イスタンブールからリスボンへ、そしてパリへ。ヨーロッパを彷徨うミチル。再生の光は果たして見つかるのか? 魂の巡礼を鮮烈に描く青春小説の傑作。第6回朝日新人文学賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あんこ
33
暴力的な美しさだった。気づけば引きずられて、抜け出せそうにない危うさ。ミチルの孤独や漂う影、熱烈な感情が渦巻いていて、足元を絡め取られていた気がする。痛々しい程に伝わる彼女の叫びに、終始泣きたくなりながらも、その美しさに惹かれてしまう。恋にも似た感情を覚えた。2014/04/01
金吾
30
○前作を読んでいませんが、話についてはわかりやすかったです。関わりやわかれに伴う心の動きがきれいな言葉で表現されています。続きが気になる話でした。2023/10/03
そうたそ
18
★★☆☆☆ 「愛の国」を読むために同じシリーズである本作を手にとって見たが、やはり初期作品であるだけに、「ケッヘル」あたりの中山さんの傑作群に比べると、やや魅力が落ちるかなという印象。シリーズ一作目の「猫背の王子」を飛ばして読んでしまったが、本作を単体で読んでも支障はない模様。中山さんの作品といえば、「同性愛」というキーワードは切っても切り離せないものであると思うのだが、この頃からそういう意味では中山さんの作品の基盤は確固たるものとして成立していたんだな、と実感した次第。2014/04/11
エドワード
16
元劇団役者のミチル。突然ミュージカルの台本を無理強いされ、海外へ逃避行。 イスタンブール、アテネ、ミラノ、アヴィニョン、マドリッド、リスボン。哀愁に満ちた街。旅先で出会う人々。みな陽気で人懐っこい。勿論、泥棒もいるけどネ!いいなあ、ヨーロッパ。アヴィニョンで出会った久美子を探してパリをめざす。ミチルの働く所として、市谷の印刷工場が出てきてびっくり。ここ、昔の勤め先なんです。夜勤明けで楽しく飲んでいる人がいたなあ。ミチルが最初にいた劇団の名前、劇団カイロプラクティックが可笑しい。確かに「天使の骨」だな。2013/03/29
yokki
14
「猫背の王子」続編。 主人公・王寺ミチルに惑わされ、惹きつけられて、するすると読んでしまう。 猫背の王子に比べると随分と短く感じた。 海外旅行に行きたくなる。2018/03/23
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