内容説明
志賀直哉門下の著者が師にまつわる様々な出来事を中心に綴った滋味溢れるエッセイ集。志賀の臨終を描いた「終焉の記」をはじめ、滝井孝作、尾崎一雄ら同門の作家や「白樺」同人の里見、梅原龍三郎のこと。志賀と前後して亡くなった三島由紀夫、川端康成、文壇仲間吉行淳之介、遠藤周作との交流、親しかった人々や食、旅をめぐる話などを清澄な文章で記した初期のエッセイ59篇。
目次
終焉の記
葬送の記
志賀直哉の意地悪
志賀直哉と川端康成
直哉のタスキ
古手紙の山の中から
メートル法強制
猫なで声
十万円の古本
書評
蛙の合唱
私の中の日本人
万葉集と私〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
unterwelt
1
師・志賀直哉の臨終や葬儀にまつわる話から文士との交流、旅や食、時事問題についての随筆をまとめたもの。文士との交流では遠藤周作とのやり取りが非常に下らなく、そして面白かった。「『不眠不休の努力』はほめ言葉になっているけれども、その結果過度の緊張状態が欲も得も忘れさせてしまったら大変だ」(P.196)という文章が印象に残った。2019/07/15
AR読書記録
1
タイトルに、どうも読んだことあるなと思いながら読んだ。内容は覚えていなかったので、たしかに読んだことあったけどまあいい。そして、前回よりもちょい長い感想が書ける気分ではある。大きくは師匠や仲間について書いたもの、軽い時事・社会問題的なもの、身の回りエッセイに分けられ、おおよそ40年ほど前のものが中心だが、まあ古びていないこと。というか、日本人のメンタル変わんねぇなと、特に時事的なものを読んで思う。戦争を生で語れる人がいなくなっていく現在、こういう真っ当な言説で軌道修正する力がなくなっているかと思うと怖い。2014/04/16
がぁ
0
読むものも書くものも聞くものも、すべてが軽くふわふわとしている現代にあって、ひとつひとつの言葉にしっかりとした意味がある文章を読むと、居住まいを正す思いになります。 2007/06/17
AR読書記録
0
食べ物の話がすごくよい.初阿川弘之がこれなので,自分の中で,美食エッセイの人と定義していまいそうだ.2011/08/26