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内容説明
知の考古学者、フーコー。そのまなざしは、「主体」「権力」「自己」「性」の根元へと向けられる。いかにして人は服従する主体となるのか、あるいは、言説を形作っている知の様式は時代・文化によりどう変わるのか……。もっとも刺激的な思想家を、やさしく、まるごと理解するための最適教科書。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛸
18
おそらく日本語で書かれたフーコーの入門書の中では最も易しい一冊。フーコーの伝記的事実をさらいつつもその思想の特徴がとても平易な言葉で解説されている。ゴシップ的な興味を惹くエピソードも多くそこも面白い。サルトルとの有名な論争の件を読んで、そこにはサルトルとフーコーの「主体」概念の捉え方の対立があったいうことがよくわかった。しかしそれにしてもフーコーの、サルトルに対する煽り=「二十世紀を考えるために、十九世紀の人間がしている壮大で悲壮な努力」は切れ味が鋭すぎる。フーコーの見取り図として最適な一冊。2020/04/30
佐藤一臣
6
読んでもフーコーを理解するのは困難だった。彼は社会の文化構造を多量の文献を当たって、歴史からひも解いていったようだ。この膨大な情報を分析するパワーは並大抵のことではないと感じた。構造と言えば、有名なのはレヴィ=ストロースだ。ストロースは狩猟採集民から普遍的な人間精神をひも解いていたが、導き出された構造には無意識の普遍性があった。フーコーは古代から近代にかけ複雑になっていった文化構造を調べ、時代や環境に応じて無意識の普遍性自体が変化していく様をとらえたようだ。生きていたら、さらにすごい研究になっただろう2025/08/09
ぬ
6
【図】知の考古学者、ミシェル・フーコーの半生、思想、著作を分かりやすく解説した教科書。 フーコーが生きた時代背景を解説しながら、フーコー自身どんな生涯を送ってきたことや、フーコーの思想のキーワード(アルケオロジー、パプティノコンetc・・・)や著作解題がとても分かりやすい言葉で解説されていて難なく読み進めることができた。巻末の『知の道具箱』には、解説付きのブックガイドが掲載されているのがとても良かった。 この本で全てが分かるわけではないが、フーコーの思想を一から学ぶ一歩として良い一冊。2011/06/27
pon
5
晩年のフーコーから「なんじ自身に気を配るべし」、「自分自身をひとつの芸術作品としてつくりだすべき」という言葉が出てきて、他の人が言ったらたぶん引っかかることなく流す言葉だと思うのですが、グッときました。このように属する言説編成体(大雑把にいえば言葉の背景をなすシステムのようなもの?)が異なると同じ言葉でも意味内容が変わるのだと、本書の『知の考古学』の解説箇所に書かれておりました。2017/05/19
非日常口
5
フーコーの著作より経歴の方が前半はメイン。精神史観のように当時のバックグラウンドを考えつつ著作にあたることの大切さを改めて感じさせられる。学校は軍隊システムの援用であり、一種の権力構造と集団行動における自責の念を植え付けられる。自白とは何か。17司法の時代から18c政治の時代への変容など、フーコーのとっかかりくらいにはなると思う。2013/05/09