ちくま文庫<br> 遠い朝の本たち

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ちくま文庫
遠い朝の本たち

  • 著者名:須賀敦子【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 筑摩書房(2012/11発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480036285

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内容説明

人生が深いよろこびと数々の翳りに満ちたものだということを、まだ知らなかった遠い朝、「私」を魅了した数々の本たち。それは私の肉体の一部となり、精神の羅針盤となった――。一人の少女が大人になっていく過程で出会い、愛しんだ文学作品の数々を、記憶の中のひとをめぐるエピソードや、失われた日本の風景を織り交ぜて描く。病床の著者が最期まで推敲を加えた一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

133
『クレールという女』を目的で読まなければ、私は名前すら知らないままだっかもしれない作家。読んで納得したのは、彼女と私の文学への興味はほとんど交錯する所がないから。だから、彼女自身が生み出す言葉は私を強く惹きよせるのに、彼女が興味のあることを書くと、私の頭の理解のできない所を滑っていった。例外は『星と地球の間で』(サン・テグジュペリとその著作について)、これは何度も読み返していく。『父の鴎外』列挙された作品を読んでから感想を改めて。『しげちゃんの昇天』しげちゃんの思いやりの深さ心を打つ。2018/08/16

新地学@児童書病発動中

132
須賀さんの本についての素晴らしいエッセイ集。一冊の本がひとりの人間の人生に及ぼす影響の大きさを、息の長い、静謐で美しい文章で描き出している。禁断の楽しみだった読書が、自分の内面を変えて、自分の人生を支えてくれることに気づく「星と地球のあいだで」や、孤独な俳人の姿を浮き彫りにする「ひらひらと七月の蝶」は特に心を揺さぶられて、短いエッセイなのに長編小説を読み終わった満足感を得ることができた。2014/11/08

kaoru

83
須賀さんが病床で推敲を続けた随筆集。成長とともに親しみ彼女をかたちづくった本が肉親や友人の懐かしい思い出とともに語られる。冒頭の「しげちゃんの昇天」は友人を愛しんだ須賀さんらしい一篇。アン・リンドバーク、サンテクジュペリの『人間の土地』、ジョルジュ・サンドの『愛の妖精』、抵抗運動を描き日本ではあまり知られていないクロード・モルガンの『人間のしるし』を通じて女性の生き方を模索した青春時代。父に勧められた『澁江抽斎』に鴎外の「西洋の技法、日本古来のレトリックと漢文の比類ない統合」を見て取る。「人生がこれほど→2022/12/22

はたっぴ

78
須賀さんの幼少記と出逢った本の感想が満載で、面白く読んでいるうちに離れ難くなってしまった。やはり子供の頃の読書は大切だ。著者を文学へと導いてくれたのは、父親や叔父、祖母達からの贈物の本だった。読書の達人である父親は全集や武鑑(江戸時代の年鑑紳士録)にまで手を広げて読み漁っていたらしい。著者は達人の娘らしく、子供向けのたぶらかしには乗らない。大人の陰謀を感じる作品には厳しく、キリッとした主張があるのだ。数少ないが本物の友情を育み、孤独を愛する少年のようなピュアな心を持つ人だったと思う。至福の読書となった。2016/04/08

コットン

75
須賀さんの幼少からの家族や友達との本を通して人生が語られる。隣の主人がホトトギス派の原石鼎で気難しそうな老人だったとか、父との本の話も面白い。こんな記述も…「それまでに読んだどんな話よりも透明な空想にいろどられていながら、人間への深い思いによって地球にしっかりとつなぎとめられたサンテグジュペリの作品は、他にも読むべき古典がたくさんあるのをながいこと私に忘れさせるほど、夢と魅惑に満ちていた。」2016/05/31

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