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内容説明
日本海軍は、戦場でまみえた相手であるアメリカ海軍に対して、意外なほどの尊敬と共感を抱いていた。それは、戦後の海上自衛隊にも脈々と受け継がれ、彼らの協働態勢が、日米同盟を基底で支えていた。本書は、日米関係の中で特異な地位を占めるこの海の絆を軸にしながら、帝国海軍の英雄たちと異なり、ひたすら訓練に励み、戦うことなく名も知られぬまま去った海上自衛隊指揮官たちの誇り高き姿を綴るものである。
目次
1 ジェームズ・アワーと海上自衛隊
2 海上幕僚長内田一臣
3 海上幕僚長中村悌次
4 海を渡った掃海艇
5 アーレイ・バークと海上自衛隊誕生
6 ミスター・ネイヴィーと増岡一郎
7 アメリカ海軍戦中派
8 江田島のはなみずき、アナポリスの桜
9 再び海を渡る掃海艇
10 海の友情、その後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
著者の父親の友人(ジェームズ・アワー氏)からの紹介で、日本の海上幕僚長の経験者からの話をもとに雑誌に連載したものをまとめたもので。如何に日本の海上自衛隊がアメリカ海軍の援助なしには成立し得なかったかを書かれています。日本の最初の自衛艦の「あきづき」「てるづき」はアメリカが域外調達(三菱重工業にて造船)して、日本に与えた自衛艦であるということを始めて知りました。やはりアメリカの協力なくしては今の海上自衛隊はなかったということなのでしょう。日本の海上自衛官の中にも立派な人物がいたことも書かれています。2016/01/12
柔
31
戦場では、あいまみえた日米の海軍。戦後はパートナーとして互いに敬意を持ち、友人となり交流を深めた。アーレイバーク大将は大の嫌日家であったが、日本へ赴任する。ホテルの生活を陰気に思い、花を購入しコップに入れ鏡台に置いた。勤務から帰ると花は花瓶に飾られていた。また数日後には新しい花に変わっていた。フロントに謝意に伝えると、そんなことはしていない。部屋係の行為であるという。その人は戦争で夫を亡くした小柄な年配の女性であったという。その後バークは日本の為に尽力し、海上自衛隊の父とまで呼ばれるまでになる。2019/07/29
せいたろう
10
海上自衛隊の歴史は日米同盟の歴史でもあるのだろう。海というのは嘘を言ってもはじまらない。嵐がくると同じ方法で危難を避けねばならない。大自然を相手にし共通の流儀を持った集団同士、仲間としての意識がある。戦争時のわだかまりが氷解していったのもこういう気質が関係しているのだろう。イラクへの掃海艇派遣。当時のマスコミはやたら疑問視する意見ばかりであったが、じっと耐え忍ぶ派遣隊の指揮官の思いが綴られててとても良かった。2019/09/18
おっくー
7
海上自衛官や海上要員が読むべき本。スポットに当たることない海上自衛隊の胸熱な話!2014/03/24
Masato Watari
6
非常に読みやすい、海の戦後史。 予備知識なしで海上自衛隊の創設から現代までを、日米両者の視点で読むことが出来る数少ない一冊。 説教臭くない所が、さすが阿川一家と思った。 日米同盟で重要な役割を果たした人物をクローズアップし、報道されなかった海上自衛隊のみならず、日米同盟の海の軌跡を時間軸で見る事が出来る数少ない本。2012/09/01