内容説明
常に斬新な批評を展開する著者が“風景”と呼ぶ微妙な位相。村上春樹の小説を中心に「まさか」と「やれやれ」論、坂口安吾、田中角栄、北一輝に共通性を見る「新潟の三角形」、“ディスカバー・ジャパン”と国木田独歩、志賀重昂を対比する「武蔵野の消滅」ほか、三島由紀夫、深沢七郎、吉本ばなな、大島弓子等、時代をとりまく日本的文化現象に焦点をあてた独創の8篇。著者の批評の資質と方向を示す初期評論集。(講談社文庫)
目次
「まさか」と「やれやれ」
1959年の結婚
新潟の三角形
武蔵野の消滅
「大」・「新」・「高」
風景の影
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
64
ちょっと論理の飛躍があるんだけど、それを覆い隠してしまうくらい文章がいいなあ、と思っていたら、学生でいらしたころに小説を書いていらっしゃったとのこと、激しく納得した次第です。2019/08/24
ころこ
44
初出は雑誌の連載だが、1章の中に詰め込み過ぎているため、単なる思い付きのエッセイ集にみえてしまう。あとがきで「学問は、その調べたところを全部捨てる。そして、その最後の問い、そこからはじめる。それがわたしの掴んだ批評の極意で」と柄谷の仕事に対抗して、自らの批評を規定している。この後、最終回が途中で書けなくなり、「最後、もういい、この商売はこれでヤメだと決め、しらじらと夜の明ける午前四時くらいの空を眺めて、ワインを飲んだ。」と続く。この個人商店感が加藤の強みであり、小説に比する力強さが批評にあることの証明であ2023/04/25
編集兼発行人
3
我が国の文学作品大衆雑誌政治思想広告写真等々から読み解ける風景の意味に関する考察。民族的なダブルバインドが齎す多重人格性を引受けることでしか「ただの人」で居られないという諦念の下に展開される第三の可能性が何処か遠慮がちな文体でチクチクと突き刺さってくる感。取分け平凡出版がマガジンハウスへと社名を変更した理由の推察を通じて意識の古層へ潜入する章が出色。叙景とは眺める主体が其処から消え去る其の瞬間に捉えたものを詳らかに著すことと同義なのかと理解。巻末の解説で部分的に紹介された著者が若かりし頃の小説に興味津々。2013/11/16
iwasabi47
1
ある方が薦めていたのをたまたま憶えていた古本屋見つけたので。村上春樹「やれやれ」・大島弓子の話はその時代かと。私的には参考になったのは、「武蔵野の影」の中で『ミカドの肖像』中に志賀重昴を言及してるらしい。まったく気にしてなかったので読んでみよう。2019/06/24
v&b
1
新鮮。村上春樹について、と風景の影が特によかった。あと、著者から読者へのメッセージと、瀬尾育生の解説も非常に面白い。脱帽。参った。2010/01/22
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