ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 単独飛行

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ハヤカワ・ミステリ文庫
単独飛行

  • ISBN:9784150712587

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内容説明

石油会社入社後、赴任先のアフリカで体験した楽しくもスリリングな数々のエピソード。その後、第二次世界大戦が始まり、英国空軍飛行士として中東やギリシャを転戦しながらの冒険の日々。そして戦地から手紙に託した母への想い……短篇の名手が波瀾万丈の青春時代を綴る『少年』の続篇の自伝

目次

船出
ダルエスサラーム
シンバ
グリーン・マンバ
戦争のはじまり
ムワヌムウェジ族のムディショ
飛行訓練
サヴァイヴァル
盗賊との最初の遭遇
弾薬輸送船
アテネの戦い―四月二十日
最終日の前日
アルゴスの大失敗
パレスチナとシリア
帰国

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

48
青年期のダールの自伝。1938年22歳でシェルに入社したダールはタンザニアに派遣され(この部分も実に面白い)、戦争が始まると飛行士に志願する。訓練を受けにナイロビまで小型車で600マイル一人旅とか、経験の無い飛行機で砂漠の部隊に合流(その結果事故に)とか、再び未経験機でギリシャへ…とか、going soloの原題どおりの軍隊の面倒見の悪さ、突き放し方がすごい。自立した個人扱いと言うことか。戦争が理不尽なのは何処も同じだが、上官に質問反論する風通しの良さもある。エピソードも面白いが文化の違いに驚かされる。2022/07/02

akira

24
久しぶりのダール。短編ではなく、ダール自身の青年期の自伝。ブラックユーモアやキレこそないが、一人の飛行機乗りが戦争に巻き込まれていく様は実に生々しい。仕事のアフリカ赴任中、突如として出された宣戦布告。後に第二次大戦と呼ばれるたたかいに、ダール青年は巻き込まれていく。顔見知りだったドイツ人は、拿捕すべき対象に変化していた。飛行機乗りのみが知る、独特の経験。ひとつひとつが、どこか現実感が薄い。この空気感は実にいい。「スイッチを入れ、燃料の混合比を「濃厚」にセットして始動ボタンを押した」2015/06/10

よみこ

14
事実は小説よりも奇なり。最初は英国からアフリカ行きの船の中やアフリカでの生活のエピソードが、ダールお得意の洒落たオチ付きで語られる。これが抱腹絶倒の面白さなのだが、やがて第二次世界大戦が始まると、パイロット訓練の様子や初めての単独飛行、ドイツ空軍との戦闘など、まさに命がけの冒険譚となる。ダールの作家としての観察眼が冴え、非常に読み応えがあった。最後の一文は、作家の勇気と生き抜く力が母の大きな愛情を背負って湧き出たものだとうかがい知れて、感動的である。2020/08/20

Tosh

11
まさに読むことで、こんな人生があるんだって、世界が広がる本です。自分で選択し運命を受け入れて進んで行く姿勢は、どの時代でも大切ですね。2018/05/03

本の蟲

10
短編の名手にして児童文学巨匠。少年期の自伝『少年』に続くダール青年期の自伝。就職によって手にした赴任先、東アフリカでの素晴らしい生活。戦争の始まりと空軍入隊、飛行訓練。遭難事故。ギリシャでの厳しい戦闘。小説より奇なアフリカでの珍しい体験の数々。昔日の栄光衰えない大英帝国僻地の暮らしと、宮崎駿がファンというのも納得の、飛行士時代の描写が素晴らしい。ダール自身述べていたが、スワヒリ語で飛行機という単語は『ヌデジ』(本来の意味は鳥)しかないので「飛行士になる」は「鳥を飛ばす」と表現されるのは大変詩的だと思う2022/06/22

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