内容説明
「毎年、冬と夏のあいだは、ぼくは外国の町にいる。二ヵ月ぐらい滞在する。でも、ガイドブックは一度も見たことはない。観光とは、ぜんぜんちがう旅をしているのだ……」キプロス、ニューヨーク、シドニー、アムステルダム、ブレーメン、ベルリンそしてロンドン。行く先不明のバスに乗り、酒場と人々の出会いを楽しんだコミさん最晩年旅行記。
目次
キプロスふらふら
ニューヨークふらふら
シドニーふらふら
アムステルダムふらふら
ブレーメンふらふら
ベルリンふらふら
ロンドンふらふら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
75
コミさんこと田中小実昌さんの旅行記。といってもコミさんの旅行記は風光明媚な場所や変わったことではなくいつも朝食のことや街で出会った普通の人、乗り物そしてお酒のことがほとんどだ。それらがコミさんの名調子で淡々スイスイと読ませてくれる。コミさんのような旅はきっと楽しいだろうなと思うけれど案外いつも淡々と旅ができるかといえばなかなかむつかしいのかもしれないな。キプロスにはじまりロンドンまで8都市、ふらふらの旅面白かった。2018/11/10
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
39
バスが来たらどこへ行くのかも確認せずに乗る。昼に起きて朝ごはんを食べながら迎え酒。夜になったらまたバーで飲む。キプロス島、ニューヨーク、シドニー、アムステルダム、ブレーメン、ベルリン、ロンドンどこへ行っても変わらない。毎年冬と夏に1ヵ月間、日本を離れてふらふらと暮らす。こう書き出してみると能天気で楽しそうなのに、読んでいる間どこか淋しいようないなくなった人を思うような匂いを感じていたら、最晩年の旅行記だそう。2016/05/11
ホークス
16
田中小実昌さんは、ほとんど読んだことがない。この本は晩年の紀行で、年齢のせいか語り口が若干ぼんやりと感じられた。写真の田中さんもどこか呆然としている。しかし勝谷誠彦さんのあとがきにあった「詩人」という言葉で少し判った気がした。このあとがきは中々鋭くて、指摘された箇所を読むと田中さんの隠された業や優しさが見えてきた。確かに、ふとしたつぶやきにドッキリすることも何度かあった。やはり相当深い人なのだ。2015/12/09
kousei
9
旅本は好きで結構読んでいるが、紀行文でもなく、行った先のバーやレストランの描写がメインでイマイチ盛り上がらなかった。晩年の著作らしいがまとまりがないのが残念。一応歴史やその町の特長や体験談が多いと良いのだが。2019/06/19
スプリント
8
世界各地で経験した食と飲みにまつわるエッセイです。著名な方なので現地でアテンドされる人々も有名企業の重役クラスばかりで羨ましい旅行記です。2015/02/04