内容説明
病気で視力を失い自暴自棄になっていた井上吾郎は、相撲取り・稲垣との出会いに大いに力づけられた。しかし世間の風は冷たく、実の叔父に遺産を奪われ、大学への進学も難航した。その苦境を乗り越え大きく成長する吾郎の姿を描いた直木賞候補作「眼」ほか、陸上に捧げた青春を描く表題作「緑のオリンピア」など、自らの小説世界を模索していた若き日の池波正太郎の瑞々しい文章が光る現代短編集。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカシ
1
池波先生の初期の短編集。意外なスポーツものの「緑のオリンピア」はファンタジーが入った作品でちょっとビックリでした。「木葉微塵」と「のどぼとけ」はなかなか印象深い作品でした。2017/03/17
Akihito Arai
1
どうも時代小説は苦手。しかし「銀座日記」などで池波さんの書くものは面白いと思う。ということで搦め手から攻めて行こうと思って手を出したのが本作。面白く、ぐんぐん読み進められる作品であった。中でも表題作の「緑のオリンピア」は、普遍的な魅力が感じられる素晴らしい内容であると思う。荒唐無稽な内容であると言えば言えるが、ほんのわずかではあるが目標をもってスポーツに取り組んだことのある身としては、大きな共感を感じられるものであった。解説は常盤新平さん。文庫版にはこういう楽しみもあるのでうれしい。2014/10/05
おおまさ
0
こんな作品もあったのか、と驚いた。 小説家・池波正太郎が出来上がってゆく過程を知ることができる一冊。興味深い。2018/08/18