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内容説明
ナチズムの新しい帝国創造のヴィジョンと世界破壊の欲望は、今日の私たちの社会にも繰り返し甦って来る。ナチの黙示録的な鉤十字運動は、どのように人々の心を魅了したのだろうか。神話と象徴に彩られ、無意識の想像力を緻密に体系化した“血の結合”の幻想と実践の分析を通して、普通の人々をも狂気に駆り立てた政治的世俗宗教の実態を抉り出す。「祭司」ヒトラーと「伝道師」ゲッペルスが紡いだ破壊と終末の幻想を切開する現代史のプロファイリング!
目次
序 目覚め
第1章 聖なる山
第2章 「第三帝国」の由来
第3章 エッカルトからゲッベルスへ
第4章 美しき化け物たち
第5章 1938年11月9日の「ムスピリ」
第6章 「高さ」への野望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
35
題名からてっきり「意思の勝利」やベルリンオリンピックといった儀礼から宗教的意味を汲み取るようなものかと想像していたら、全く違った方向からのアプローチだった。ここではナチズム自体を世俗宗教と始めから位置付けているが、どうもその定義が十分に説明されておらずあやふやな印象を受ける。オーバーザルツベルクがその源泉であったと言われても急には肯定し辛いし、トゥーレ協会やエッカルトについても過大すぎる評価をしているように見受けられる。著者の主観が確定のように書かれていて、どうも論旨がよくわからない一冊だった。2015/10/28
無重力蜜柑
16
駄作。酷い駄作。ナチズムをヒトラーの破壊願望を具現化するための「世俗宗教」であると見て、「高さ」をキーワードとしてオーバーザルツベルグ(ヒトラーが邸宅を持った山地)を軸に読み解いていく……。構想こそ面白いが内容はカスの一語に尽きる。完全にレッテルと妄想と断定だけで構成された文章で、史学的な正確性がないのは目を瞑るにしてもエッセイ、思想史、評伝的な面白さすらない。何より酷いのが文章だ。同じようなフレーズが何度も繰り返される冗漫な駄文。薄い新書なのに情報密度が低すぎる。筆者一人が気持ち良くなるだけの自慰行為。2025/03/31
masabi
9
ナチズムの宗教的側面を取り上げられるのを期待したが、それよりもヒトラーとゲッベルスの司祭と伝道者の役回りに多くが割かれていた。オーバーザルツベルクというヒトラーが邸宅を構えた保養地と高さを鍵概念としている。外交交渉が上首尾に終えたのを相手が霊地で幻惑されたのかなどと書くので、どこまで信頼できる記述なのか取り扱いが難しい。トゥーレ協会とエッカルトがヒトラーの思想の淵源のひとつで終末論や超人のアーリア人神話を引き継いだ。ドイツの救済を掲げながらその破滅も胚胎し、最後には破滅が現実化する。2025/04/13
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
7
再読。内容を殆ど忘れていた。2000年刊。著者は京都大学総合人間学部教授で専門はドイツ文学。ナチズムを宗教的な面で見た本。しかし『第二次世界大戦の起源』を読んだ直後だと…全く言及すらしていない。これは別にテイラーに対する是非ではなく過去の研究を参照したのか否かと言う。それとも宗教的、或いは文学的な論だから関係ないと見たのか。国会議事堂放火はナチスでも共産党でもないのは確実な模様(訳者解説で批判的言及が無い)だが、本書ではナチスによる偽装としている。→2023/07/29
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
2
ナチズムの宗教性に興味があり、買ったまま暫く積ん読だった本。この手のテーマの場合、ナチス政権時の祭祀的側面を強調するものと、千年王国的な熱情や狂気としての方面を強調するものの両者があるようだ。本書は前者の系統で、側近では特に宣伝相ゲッベルスに焦点が当てられる(後者だとヒムラー)。この場合あくまでも宗教の外的側面をナチス政権が模倣したという形の分析になる。本書はもう少し踏み込んだ分析をしているようにも感じた。当初思っていた以上に興味深く読めた。2012/06/08
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