内容説明
ひそかに憧れていた先輩・大沢を追って、同じ心理学の大学院に入学した響子。そこには、彼の恋人・亜々子がいた。響子は、快楽的で奔放な亜々子に反発しながらも、だんだんと惹かれていく。しかし、亜々子は、やさしい仮面をかぶったエゴイストの大沢に振り回され、傷つけられても全身でそれを受け止めていた。なすすべもなく、二人をただ見守ることしかできない響子。そして大沢が、新しい恋を見つけたときから、三人の心の均衡は、少しづつ崩れ始めた……。激しく切ない愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そら
28
とっても良かった~!大学院生の4角関係。上質な恋愛小説だと思います。恋愛至上主義な登場人物達に、若いな~と思うけど。繊細で狂気的で、平凡な私には真似たいとか絶対思わないけど。恋愛について語り合いたくなります!こういう優男、いるよね~。一番ズルいのは亜々子じゃない?全部持ってっちゃって、みんな人生を狂わされてる。結局は勝者。2017/12/20
あかは
18
久しぶりに再読。やっぱり好きな本だと思った。悲しい愛の話。でも、ニヤの愛しかたは苦しい。憧れるけれど。大沢ってこんなに滑稽な男だったっけ。おめでたい人にみえた。また、読むだろう。何度でも。私にとってはそういう本だ。2013/10/20
紅
5
宮木あや子さんがブログで魂の百合作品として挙げていた一冊。終わり方にガツンとやられてしまった。とんでもなく良い。後輩の女の子が先輩に反発していく間に惹かれてしまうというのが良いなあ好き。ものすごく心が痛い作品だけれど、出版当時(92年)の空気感も良い。しっとりした空気感の中に漂う狂気も好き。2023/06/02
moo
5
大沢のいいところがまったくわからない。えがかれているんだろうけど、入ってこない。こんなにも凡庸で小市民で鈍感な男の魅力ってなんなんだろう。堀田あけみさんはもっとキラキラしてるのかと思っていたので驚いた。花のもとにて~を引用する話はたくさんあるけれど、キンモクセイに変えるって面白い。下の句なければ桜じゃなくてもいいもんな。2021/02/25
悪者みきこ
4
何度目か分からない再読。今回は読んでて涙が止まらない。自分に重ねすぎてしまう。私は彼への愛に殉じることはできるだろうか。2018/02/11