新潮文庫<br> 原色の街・驟雨

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新潮文庫
原色の街・驟雨

  • 著者名:吉行淳之介【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 新潮社(2014/04発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101143019

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内容説明

見知らぬ女がやすやすと体を開く奇怪な街。空襲で両親を失いこの街に流れついた女学校出の娼婦あけみと汽船会社の社員元木との交わりをとおし、肉体という確かなものと精神という不確かなものとの相関をさぐった「原色の街」。散文としての処女作「薔薇販売人」、芥川賞受賞の「驟雨」など全5編。性を通じて、人間の生を追究した吉行文学の出発点をつぶさにつたえる初期傑作集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

310
初期の5つの中・短篇を収録。篇中の「驟雨」は第31回(1954年上半期)芥川賞受賞作。吉行は、「原色の街」で候補になって以来、ほぼ毎回候補に挙がって来て、ここでようやく獲得したのであった。つまり、手練れではあるものの、最後のインパクトには欠けるとの評価だったようだ。また、後年にも『夕暮れまで』を書いていることから、官能小説家のようにも思われがちだが、実質はかなりニヒルでクールな都会派作家である。ここでも娼婦が描かれるが、情交の場面はなく、主人公の山村と娼婦の道子、それぞれのデラシネこそが描かれたのである。2014/03/30

遥かなる想い

229
第31回(1954年)芥川賞。 昭和の夜に生きる女性たちを しとやかに描く。山村英夫が 娼婦道子と 交わす情愛がひどく 哀切で ぼんやりとした翳の世界が 心に残る。 著者が描く情緒深い 夜の街は、昭和とともに 去っていったのかもしれない.. はるか昔に 通り過ぎた気がする 大人の 世界だった。2017/06/25

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

168
しあわせになりたいの、とわらって女は飛んで火に入った。美しい髪は、焼けてしまつた。美しい肌はおちてしまつた。あついあついと、あげたのは嬌声だった。うつくしい女の、のこったのは骨だけだった。骨はひどく、軽かった。名残りは美しいゆえに虚しく、その侘しさが一層のこと思い出としての輝きをいや増す。男の帰る家は、別にあるのだから。男は美しい思い出を買って、女は春を売って命を燃した。あの赤いあかるいあたたかい光はいつか、2019/11/20

kaizen@名古屋de朝活読書会

158
芥川賞】人間の思いだけに深めるのではなく、人の行動だけを描写するのではなく、微妙な均衡を保ったまま、物語を進めていき、いい加減なところで終わる。社会を激しく批判するのでもなく、物を愛でるのでもない。芥川賞のお手本のような作品。2014/10/07

YM

89
主人公は女性を愛することに煩わしさを感じ、娼婦との気楽な付き合いを選ぶ。しかし、ある娼婦との出会いが、徐々に主人公の感情を揺さぶる。あ、好きになっちゃったかも…。こうなると、相手が娼婦であることが、逆に主人公を苦しめる。こうしている間にも彼女は今ごろ…。そりゃそうなるわ。僕は女性と体を触れ合わせると、否応無く心を持っていかれる気がする。その体の感触から恋しくなるような。だから風俗には行かない。きっとハマると思う。2015/02/21

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