内容説明
本書は、精神科医の視点から、今の子どもたちがいかに成熟を拒否し、大人になる責任から逃れようとしているかを論じたものである。 そもそも大人になるとはどのようなことか。著者は4つのポイントをあげている。 まず、自己の内面や感情のコントロールができること。第二に、独立心の獲得。第三に、人生の目標や計画を主体的に形成できること。第四に、他人への思いやりや共感があることである。このような点から見れば、現代の子ども(青年)たちがいかに幼稚であるかがわかるだろう。そして数々の症例をもとに解説している。不登校の原因、普通の子どもによる凶悪犯罪、行きすぎた潔癖主義、ボーダーラインと閉じこもり、拒食症と強迫神経症等々。 著者の考えでは、これらの根本問題は「母子密着」をどう解決するかであると指摘する。母性社会ニッポンのゆがんだ構造がみえてくるだろう。豊かな国の寂しい子どもたちの心の危機がリアルに伝わってくる好著である。
目次
序章 大人になりたくない子どもたち
第1章 豊かな国の寂しい子どもたち
第2章 臨床からみた青年期の心の危機
第3章 なぜ異常犯罪が増えるのか
第4章 子どもの成熟をはばむ日本的システム
第5章 精神科医として何ができるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
5
日本人が抜け出せない権威主義が面白かった。日本の校長先生の駄目さ加減は際立っている。親が学校にしつけを期待する事自体が大間違い、結局のところ国家百年の計=教育がもう機能していないのだな。みんな揃って思考停止して、ネットでは、自分の意見も言わずに、変わった奴を叩くのに夢中。アメリカの方が新しい事をやる人には、せめて邪魔せず見守る位のフロンティア精神や自分は自分、他人は他人というのがあるが、単一民族の日本は異物排除の村社会、八つ墓村か!本当に嫌んなる。2015/08/02
ゆうき
0
全てを個人の責任にするこじつけ本です。2013/06/16