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内容説明
天皇の称号はいつ成立したのか。天皇はなぜ続いてきたのか。この疑問にただちに答えられる人は多くはないだろう。天皇を長とする古代律令国家は、経済変動のために崩壊し、公家政治から武家政治へと時代は移ったが、それにもかかわらず、天皇と律令システムの正統性は失われなかった。明治の日本は律令国家の直系の子孫であり、じつは今の日本もれっきとしたその跡継ぎなのだ。ウルトラ混合政体にいたる日本国家の本質とその由来の謎をはじめてわかりやすく解き明かす新・日本学入門。
目次
第1部 天皇という称号(「天皇」とは、そもそも法律用語である。 「天皇」とは、「北極星」のことである 君主の称号とは、臣下が献上するものである 日本の天皇号は、臣下が献上した 天皇は、「倭の五王」の子孫である 天皇の統治は、高天原の神の委任である 天皇の「姓」は、宮号である)
第2部 中国と日本(「冊封体制」とは何か 冊封体制とは、中華帝国の世界秩序のことである 天命思想とは、王朝交替の思想である 日本は、中華帝国に朝貢して、世界史に登場した 遣隋使・遣唐使は、中華帝国の官職・爵号はいらないと伝えた 日本という国名は、律令体制に伴ってあらわれる)
第3部 日本律令国家(日本は、中華帝国のような国家になりたかった 日本は、律令を作るために、中国から律令の写本を運んできた 日本の血統原理の正当性は王朝交替思想を排除して成立した 律令国家は、行政指導・官僚統制型の国家である 結論 そして、国家の枠だけが残った)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めっかち
3
大胆でありながら学問の王道。久々に本当の学者の本を読んだ気がする。斎川眞氏は言う──律令制がわかれば日本はわかる、と。拡大部族制国家から律令制を輸入し混合政体となった日本。この際、易姓革命の思想は排除し、戦国策などの万世一系思想が徹底された。日本の正統性は「天壌無窮の神勅」に求められ、現在に至る。その後、明治維新で英普型政体が、敗戦により米型政体が輸入され、日本は超混合政体国家となった。未だに日本は、ウェーバーの言う「血統によるカリスマ支配」が機能しているのだ。行政指導の淵源が律令制との話も興味深かった。2022/09/07
Hiroki Nishizumi
3
とても面白かった。王朝交代思想を排除した律令国家を正統とする、との指摘は斬新だった。天皇について思考が深まった。ただ表題はちょっとセンスないな。2016/07/17
ミズノ
1
日本の律令の歴史、ときどき天皇。って感じの内容だったな。もうすこし天皇自体のことを教えて欲しかった。歴史文献にのみ基づきと書いてあったが割と私見が入っていたように思うがどうなんだろう。2024/12/21
アブストラ
1
「律令制がわかれば日本がわかる」が本当のタイトルですね。読点が異様に多いけど、副島隆彦がゴーストライティングしたの?2017/03/03
a0082273
1
日本を表すキーは、「混合政体、事大主義、自大主義」の3つ。2015/01/21