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内容説明
日本の緊急課題のひとつは教育問題であるが、問題の現況とそれに対する処方箋を考えるとき、謙虚に学ぶべきは、やはり、明治以降の教育の歴史的経緯であろう。具体的事実に即して近代教育史を俯瞰すると、そこに見えてくるのは意外にも「教育改革」の連続であった。本書は、産業化と個人主義化という一貫した流れを視野の基本に置き、日本の教育が、その時代時代の要請に従って、どのような改革の道を歩んだのかを辿るものである。
目次
1 近代教育の出発
2 天皇制国家の教育
3 学校の社会的定着
4 「大正新教育」
5 動乱の時代の教育
6 戦後教育の出発
7 学歴社会と偏差値教育
8 教育改革の時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
19
近代国家成立の時期から1999年執筆時点までの教育改革の歴史を辿った教育学の本。新書とは思えない質の高さであり、日本の教育史を学びたい人には格好のテキストだろう。戦前と戦後を結ぶ線は産業化と個人主義化である。大正自由主義教育を例として、国家主義が吹き荒れた戦前ですら、個人主義と自由を尊重する文化があった。また産業構造の変化は学歴主義を生み出す要因となり、やはり大正時代から都市型中間層の文化に現れ、戦後の高度成長を経て今に至る。産業化を基盤とした能力主義が子供を追い詰めているという結論は秀逸。2022/02/11
Ucchy
0
明治維新から臨教審までの教育政策の通史。教育制度も様々に転変して今に至っているんだなと思った。明治期は富国強兵・殖産興業、十五年戦争期は軍国主義、敗戦後は民主主義社会の確立、高度成長期以降は経済発展の手段として教育政策が進められてきた。教育政策は常に他の政策の手段であるようだ。1970年代から校内暴力、いじめ、不登校が問題化するが、これは構造的な問題だと思った。現代の学校は教えることが多過ぎる、カリキュラムを減量しないと子供に悪影響なのではと思った。2015/10/06
えんさん(연싼)@読書メーター
0
教育原理で紹介されて手に取りました。教育史について学んだことはないのですが、近代化以降の日本教育がいかにすすめられていったのかが分かる一冊。教育は常に政治の動きと関連して変化していったのだと感じました。2013/06/22
まつゆう
0
制度変遷を中心に記述しているが、時代背景やその時代時代の子どもの様子なども書かれており、トータルな理解をさくっと得たい時にお勧め。2012/11/14
kuro
0
教育史を国家との結びつき、国家からの要請との関係から詳細に論じられている点が興味深かった。国家=産業界なのか、国家の背景についてはまた別途補完が必要そうだが、入り口としてとても勉強になる新書だった。2023/06/05