内容説明
真っ直ぐに生きる海の人たち――。浜辺の町を舞台に、腕利きの漁師である父親と二人で暮らす少年健太郎と、都会からの転校生可南子、担任の若い教師紀子先生との交流を鮮やかに描く。「海族」と名乗る灰谷氏が綴る浜っ子言葉は、軽やかであくまでも陽気である。海に生きる人々が持つ根本的な明るさは、あらゆる苦しみを乗り越え、全ての人の心に育まれてゆく。眩しい海の光が詰まった一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬こ
18
海のそばに住むこども達のお話。大人も子供の純粋で、素直で、心洗われるようです。子供の気持ちを素直に子供らしく表現するとなるど、灰谷さんの右に出る人はなかなかいないですね。古きよき時代の人々の姿がほほえましかったです。2015/07/06
randa
3
漁師とそれを囲む子どもたちのやり取りが、元気ハツラツで清々しい。漁業の課題も、他人ごとでは済まされない。最後に子どもたちが、知るだけでなく、行動できる人間になりたいという言葉に、ぐっとくるものがあった。2017/08/16
さいこ
2
漁師と海の描写が素晴らしい。ダイビングの修行中に関わってきた色んな「海の仲間」の顔が浮かんだ。灰谷さんは初読だったけど今まで読んでこなかったのが急に勿体なく思えた。海での死亡事故、船の衝突事故、漁師同士の喧嘩。当事者としてではないが、身近に起きた事だった。人間なんて簡単に捻り潰せる力を持つ海を、搾取できるようになってしまった人間。海を汚す犯人の項での正木のオッサンの話には、少し涙が出てしまった。海には一生関わっていきたい。2012/02/18
Rico
1
著者の海へのこだわりが感じられる一冊。さらっと読める。解説にあるように、「登場する大人たち。。子どもの犠牲になるのではなく自分たちの生きざまをつらぬこうとする大人たちである。。。子どもたちも。。子供の正義を主張する」というのがあさにそうだなと思った。出てくる人たちがみんな真摯に生きているのがよくわかる。2016/10/07
やつぽん
1
灰谷さんの人柄が伝わる、ひとりひとりの登場人物の人間的なあったかみ。どんなに頑固でも無愛想でも、きっと愛がある。 海に生かされてきたのに、海を犠牲にする人間。知らないこと、無関心なことが、環境を通して自分自身の首をジワジワとしめていく。子どもたちの目を通してこの問題を描く力量はすごい。おとなはだれも、言い訳出来ないんではないんだろうか。2016/07/05