内容説明
新橋の老舗蕎麦屋の若女将、倉橋日登美が直面した信じられない現実――。父と夫と長男が、住み込みの少年に惨殺されたのだ。幼い娘の春菜とふたりとり残され、茫然自失の彼女のもとへ従兄と称する神社の禰宜が現れ、信州の日の本神社へ里帰りするように勧める。従兄によると、26年前、実母は生まれたばかりの日登美を連れて、ある日、忽然と村から姿を消したのだというが……。長編ホラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
127
そっちに行くんだ!そして続きが気になるシリーズ第一弾。冒頭描かれる蕎麦屋での惨殺事件から、舞台は神仏入り混じり極めて閉鎖的な日の本村へ。古事記・日本書紀を掘り下げながら、天照大神やヤマタノオロチの伝承を紐解くのが興味深い。中盤から徐々に描かれだす祭祀の様子は、狂気でカルトな予測に容易に行き着き、気付かぬ日登美が歯痒いばかり。全く人物変わって展開する日美香の部、その正体が明らかになるに連れ見事に事柄が繋がっていく。なかなか嫌悪な物語だがライトな仕上がりに拍手喝采。2017/06/27
nobby
126
2年半ぶりの再読。むっちゃ面白かった!あらためて“蛇”の神聖な魅力、毒牙思い浮かべる脅威、そして美しき鱗に惹かれるばかり…昭和52年を描く「日登美の部」に唐突に続けられる平成10年「日美香の部」。この20年近く離れて表出する事柄が、徐々に明かされていく展開が絶妙!閉鎖的で神仏祭祀の蔓延るムラ社会に辟易しながらも不思議と嫌悪感は少なめ。淫猥とか生贄など荒唐無稽としか思えない事象が見事に繋がる!天照大権現にヤマタノオロチ、自分にとってはギリギリ範疇で楽しめた(笑)手元にあと3冊全部あるのに安心して早速続編へ♬2020/01/21
アッシュ姉
70
四部作のシリーズ一作目。日本神話や神事にあまり興味がないので、説明文のように感じるところもあったが、全体的に読みやすく、先も気になりあっという間に読了。シリーズものでも一巻ごとにある程度の区切りが欲しい我儘な読者としては、なんとも気になるところでぶっつり終わってしまった感じでムムム!しかも続編は入手困難ときている。うひょひょ。全作読破された方いらっしゃいますか~?2017/04/03
aquamarine
70
因習を扱ったホラーではあるのですがあまりおどろおどろしい怖さは感じません。怖さにひいてしまうというより先がどうなるかが気になってぐいぐい読まされてしまいました。前半の日登美の部で置き去りにされた謎が、後半の日美香の部で伏線を回収するように少しずつ明らかになるのですが、日美香があるものを持っていることで凄い武器が手に入ったようで読んでいてドキドキしました。シリーズ一作目ということなので気持ちよくすっきりという終わり方ではないです。是非続きも読んでみようと思います。2015/10/11
mii22.
54
これ、面白い。時の流れから取り残され、何故か神秘的であり妖しくもある長野県の山奥「日の本村」。しかしそこには閉鎖的でよそ者にはとても理解できない常識が...。東京の蕎麦屋での惨殺事件から、舞台が「日の本村」に移り、その村に祀られている天照大神が男の蛇神では..から始まる物語が、驚愕の展開に!村で密かなに行われている神事の真実。でもまだまだ序章ですよね。この先どうなるのよ!2016/02/02