講談社文芸文庫<br> 埴輪の馬

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講談社文芸文庫
埴輪の馬

  • 著者名:小沼丹【著】
  • 価格 ¥1,353(本体¥1,230)
  • 講談社(2011/11発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061976566

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内容説明

滑稽というより、生活の事実を淡々と書きながら、思わず笑ってしまうといった味わいで、文学の師である井伏鱒二や友人たちとの交友を描く。表題作「埴輪の馬」では、埴輪様式の土器の馬を購入のため、師井伏鱒二や友人と出かける。地方都市の駅には先方のお迎えの車が、それも消防自動車が来ていて、それに乗車することの困惑。他10篇収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あ げ こ

17
小沼丹の文章は、いい。いいなあ、と思う。今はもう、ここにはいない人たちの姿が、その仕草や癖や表情が、不意に、脈絡もなく、浮かんでは消え、それも感傷的にではなく、何かこう、重さを伴う余韻を残す訳でもなく、本当にすっと、消えてしまい、こう言うのは本当に、悪くないし、いいなあ、と思う。何か、明確な目的がある訳でもなく、ただぼんやりと歩くことにも似た、緩やかな追想の速度。覚えていることと、忘れてしまっていることの、その境目の不可思議さ。どこにも繋がることなく、ただその場面や言葉だけを強く覚えていると言ったような。2021/12/09

ふるい

13
焚火、木、花、文鳥、犬etc…身近なものから過去がよみがえり、死者の姿が浮かび上がる。しかし、肝心なところがどうにも思い出せない、という可笑しみ。「十三日の金曜日」「トルストイとプリン」がよき。2022/01/17

rinakko

13
“何となく埴輪の馬が欲しくなって、弘光寺さんに手紙を書いた。埴輪の馬と云っても無論、出土品ではない。” …埴輪の馬って、何となくで欲しくなるようなものかしらん? しかも高さ65糎、割とじゃまに…(もご)。ということはさておき、大好きな味わいを堪能した。(タイトルをみて楽しみにしていた「トルストイとプリン」、トルストイがどう絡んでくるのかと思いきや…。ふ。)2016/06/23

あ げ こ

9
いなくなってしまっていた人達の事。妙に残っている瞬間の事。よく見ていたようで、案外見ていなかったようなものの事など。記憶は次第に曖昧なものと化し、正確さを失う。けれど振り返る時、正確さはしがらみのようなものにもなり得るのではないか、と思う。しがらみのような正確さを失えば、幅を利かせるのは印象の強さと忘れ難さで、そうなるともう、記憶はその人の中に、自由な形で残り続ける事が出来る。存外に根深く。それを述懐する形をとった語り口の妙。長閑な。ぼんやり歩く様にも似た。自分もゆっくり着いていっているような感覚になる。2016/07/14

うた

8
9月のお題『馬』。トルストイとプリンがなにやら可愛らしくて好き。清水町先生こと井伏鱒二を中心とした交友関係、身の回りを通り過ぎていった人々。大戦前後ということもあるのか、みんなあっさりといなくなったり亡くなったり。悲しむというよりもびっくりして、しばしばぼおっとしてしまうのは、この歳になってようやくわかる気がする。2020/09/19

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