内容説明
どんなに前向きに生きようとも、誰しもふとした折に、心が萎えることがある。だが本来、人間の一生とは、苦しみと絶望の連続である。そう“覚悟”するところからすべては開けるのだ――。究極のマイナス思考から出発したブッダや親鸞の教え、平壌で敗戦を迎えた自身の経験からたどりついた究極の人生論。不安と混迷の時代を予言した恐るべき名著が、今あざやかに蘇る。〈心の内戦〉に疲れたすべての現代人へ贈る、強く生き抜くためのメッセージ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
313
大作家が、自身の経験を踏まえて紡いだ自己啓発本は初めてかも。いや、自己啓発ではない。自分を見つめ直す捉え方の示唆というべきか。とても共感し共鳴した。物事や世の中をどう見てゆけばよいのか、ストレスフルで、簡単に自己嫌悪に陥りがちな現代。生きてることそのものに価値があり、マイナス思考も大事だと説く。苦しんでいる人がいたら、頑張れと励ましの言葉をかけるのでなく、相手に寄り添いその人の苦しみを分かってあげることこそ大事と。今を生きる全ての人に、あなたはそのままで素晴らしいんだよと示してくれる自分応援歌です‼️🙇2020/07/13
ehirano1
248
読中はひたすらページを捲り、そして読後は著者から教えを受けたような感覚になりました。そういう意味では著者と対話ができたのかなと、とっても満足のいく読書となりました。再び著者と話したくなったら、再読しようと思います(こういう時、本というのは有難いですね)。2019/08/11
kanegon69@凍結中
174
20年以上も前に書かれた作品であるが、あれからますます混沌とする現代にも多くの人々の心に沁みるのではないだろうか。本作では世間の通説や常識に対する疑問、死生観、病気、メンタルの保ち方に至るまで五木氏の見解・考え方が謙虚に述べられており、私にとってはとても新鮮な考え方にも出会えた。驚くのは敗戦後に大陸から引き揚げてきた地獄を味わった著者から見ても現代というのはこれほど生きづらいと感じていること。少なくとも著者のようなしなやかな考え方をし、当然とされている価値観・固定概念をもう一度再考する時なのかもしれない。2020/05/19
きみたけ
170
20年以上前にベストセラーになった五木寛之の名書。良い機会とばかりに読んでみましたが、読んでとても清々しい気分になりました。人は小さな一滴にすぎないが、大きな水の流れをかたちづくる一滴である。私たちはそれぞれの一生という水滴の旅を終えて、やがては海に還る。今鬼滅の刃で話題の「干天の慈雨」の思想に親近感が沸きました。「人生とはおおむね苦しみの連続であると覚悟する」の言葉は胸に深く突き刺さりました。また、親鸞の記録をまとめた書物「歎異抄」を一度読んでみようと思いました。2020/12/22
優希
141
仏教の考えが土台となっていますが、前向きにならなくてもいい、静かに諦めから始めようと諭してくれるようでした。痛みや苦しみから全ては生まれていくマイナスからの出発が生きる希望を生み出すのだというのはクリスチャンとしても感銘を受けずにはいられませんでした。人は皆大河の一滴である。生きていればそれでいいんだ。「死のキャリア」という考えは「永遠の命」と相反するものではありますが、何故かこの本を読むとうなずかされます。2017/01/22
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