内容説明
〃あの人は人殺し〃、そんな〃うわさ〃が立ったから、私はヘルパーを辞めざるをえなかった。あのときおばあちゃんは、もう死んでいたのよ。仕方がないから、いまは静かにしてスーパーでパートやってる。私の楽しみはただひとつ。勝手知った元の雇い主の家に忍び込んで……。誰のなかにもありそうな心の歪み。日常生活にある静かな恐怖。ホラーミステリー傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
78
さすが短編の女王。再読でも面白い。結末が分かってても楽しめるってすごい。ざわざわぞわぞわからの納得のオチがたまらない。裏表紙の著者写真が可愛くて、これまたたまらん。2021/11/21
ぐうぐう
25
1996年に単行本として刊行された『うわさ』の文庫版の裏表紙には、ホラーミステリー傑作集と説明があるが、そのイメージで読むと心地の良い裏切りと遭遇することになる。巻頭に配置された「独楽の回転」が象徴的だが、ここには霊的なものもなければ、おどろおどろしい設定もない。異常なほどにエネルギッシュな夫に苦悩する妻の物語は、どこにでも転がっているわけではないかもしれないが、荒唐無稽な人物造形では決してないのだ。熱く一方的に語る夫に回転し続ける独楽を連想する妻の視点で進行するストーリーは、(つづく)2022/11/30
貴
21
「時が流れ、春が過ぎ、初夏を迎えた。欲望がひとつ満たされれば、必ず別の欲望を捨てなければならなくなるのは人生の宿命である。」この部分が好きです。2025/03/10
のぼる
21
主人公の行く手には、きっと真っ暗な深い落とし穴が待ち受けているはず。 それを分かりながら読む。それでも、ドキドキ感がある。「災厄の犬」は、途中で少しキングの本を読んでいる時の雰囲気を感じた。 小池さんの作品を読むと、たまにキングを読みたくなる。2018/10/18
Yun
21
表題作を含む4編の短編集。日常に潜む恐怖が描かれている。ホラーミステリーとのことだがホラー色はさほど強くない。誰もがちょっとしたきっかけで壊れていく様が手に取るように描かれている。ただ、短編集という事で多少の物足りなさは感じた。2015/12/03