内容説明
競走馬輸送会社を経営するフレディは、自社の運転手がヒッチハイカーを乗せることを禁じていた。が、一台の馬運車がその鉄則を破りある男を乗せたところ、男は急死した―これが一連の事件の発端だった。夜その車に何者かが侵入し、翌日修理工が調べると、車体の下から携帯用金庫が発見された。車は密輸に利用されているらしい。やがて、修理工が謎の言葉を残し不審な死を遂げた。謎が深まる中、フレディは陰謀に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
15
主人公は元障害騎手。馬匹運送業者に早く転身し、従業員や顧客等人心掌握の手腕に長けて社業隆盛である。日頃運転者には就業中ヒッチハイカーを乗せないように強く指導していた処、ある運転手コンビがこれに反して男を乗せ、その急死した遺体抱えて会社に戻る事件が出来する。更に社員の不審死に加え自身も何者かに襲われる。主人公の姉が学者で、その関連で事件のプロットの1つの解明に大いに役立つ等、都合の良い点が重なり不自然、何人かの犯罪実行者の性格と動機は頷けない。主人公の警官への敵意も気になるが、スイスイ読ませる力量は流石だ。2022/07/21
RED FOX
14
「もちろんプライドの問題だが、そのようなプライドがあってこそ仕事が片付けられるのだ」馬運車の中で災難を起こすのは誰か?いじめる人にいじめの自覚はないのか?面白かった。2023/06/15
NICK6
11
経営者と冒険小説ってなんかミスマッチの匂い。そういえば傑作「直線」でもそうだった。不調ではないが、あんまり選り好みできない経営状況。男のボヤキが胸に迫る。当然嫌な奴変な奴とか数多い。前半直ぐに、疑惑が事実と判明すれば廃業となる高リスク。この辺の闇の拡大描写が不気味で巧み。死の淵から這い上がった主人公は、即、日常に回帰する不屈さはいつものフランシスで楽しめるし、終幕の意外な悪人の炙り出し、捜査同伴者達との仕事&ロマンスの絡みも良い。今回、警察批判が鋭い。ヒーローの職種に選ばない理由の一端を視た気がする。 2025/01/01
たこやき
9
車内で死んだヒッチハイカー。彼が運んでいたものは? 修理工を殺したのは? 忍び込んだのは? 主人公・フレディが運送業を回す「お仕事小説」的な要素を持ちながら次々と現れる謎に翻弄された。その上で、作中で出ているモノというのは、今現在、日本で色々と問題となっているもの。20年前に、すでに題材にしていたという先見性がものすごい。2013/09/17
ありさと
4
競走馬輸送会社を経営するフレディ。部下の馬運車でヒッチハイカーが死亡した翌日、修理工が車体の下から携帯用金庫を発見する。その修理工が不審死を遂げ、フレディの周囲にも危険が迫る。フランシスの作品は年一くらいのペースで刊行されているので順番に読んでると世相や技術の変化がしっかり反映されているのがよくわかってとても面白い。今回はコンピュータ・ウィルスなんか出てきて新しいものを貪欲に取り入れているのだなーと思う。そしてますます一行目がうまい。2018/05/01