内容説明
祖国よ、女よ、わが愛を受けとめよ! 逃げ場のない闇に追い詰められた人間の尊厳をかけて、最愛の者の頭上に、原爆を落とさなければならなかった主人公・犬子恨一郎(はんいちろう)。第二次世界大戦の日本と世界に、精密に築かれた壮大なフィクションを重ね、愛と祖国、そして生の意味を問う。人間の根源を見つめ直す、つかこうへい、渾身の長編傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おぎにゃん
5
犬子恨一郎と髪百合子。二人の愛の成就のために、ドイツが日本が滅びへの道を突き進む。だがその滅びは一時的なものに過ぎない。やがて新たな世界が、よりよい世界が創り出されるのだ…作品のあちこちに散りばめられた「愛国」の描写が美しい…恨一郎と百合子を、擬人化された「愛国心」として読むと、それを貫くことの苦しさ、悲しさ、そして美しさが心に響き渡ってくる…「愛国」とは、愛する者達を生み育て、やがては共に朽ちゆく大地を、狂おしいまでに愛おしむ心なのか?柄にもなくそんな思いを抱いてしまった。恋愛小説の最高傑作である。2014/06/28
とも
2
劇を見てから買いました。台詞が聞き取れなかった部分を補う為。2010/11/19
みさ
1
つかさんのオーバーすぎる言い回しが、その台詞だけ抜き出すと不快なのに全体で見ると全くそう感じないのが不思議。2015/02/01
しろ
1
不謹慎だけど、広島に原爆が落とされた理由が愛する女のためだったほうがまだ救いがあるように思う。2010/10/20