内容説明
「あなたが私にくれたものは、あの桜の小枝だけ。あなたが盗っていったものは、私のすべて」――。自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった……。表題作のほか、「最後の花束」「脱出」など、怖くて意外な結末が詰まった全10編。デビュー当時から直木賞受賞第一作まで、乃南アサの幅広い作風が楽しめる文庫オリジナル短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
99
乃南さんの短編は、ストリーの面白さ、ミステリーとしてのヒネリのきいた文章の巧さで愉しめる。最後の表題作を読み終えて、「巧いなぁ!」と思わず無言で呟いたあと、しばし放心状態に落ち入った。箸にも棒にも掛からない、9歳年下の亭主に健気に尽くす妻が主人公の【花盗人】。あまりに勝手気儘なぐうたら亭主を、途中何度もぶん殴りたくなった。とにかく、ヒリヒリする恐怖感がたまりません。ホントに女性の心理描写が巧い作家さんです。2020/05/16
アッシュ姉
70
大好物の乃南さんのブラック短編集。ゾクッと怖くてヒィィと驚く結末の十編。どれもハイレベルでハズレなしの面白さのなか、縦の物を横にもしない夫への不満を募らせた妻の意外な行動「薬缶」と「花盗人」がお気に入り。ドキッとした旦那さま奥さまには是非読んでいただきたい。2019/01/28
tengen
62
乃南アサさん短編集。ショートショートと言えるくらい短めの作品が多いです。短い分キレがあって良かった。怖いものや意外なものなど、落とし所の鋭い作品を10も読んで結構お得な感じ。 薬缶/寝言/向日葵/愛情弁当/今夜も笑っている/他人の背広/留守番電話/脱出/最後の花束/花盗人2014/06/13
巨峰
48
初期短編集。出来にばらつきはあるけど、読む価値はある。ただ携帯電話が普及する前のお話ばかりなので若い人が読むと違和感あるかもしれないです。「最後の花束」の大きなどんでん返し、「花盗人」の苦さはまるでエスプレッソをブラックでのむかのような口当たりでした2015/09/02
hope
26
いやはや、人の心の闇は深いでっせ。夫婦だからと安心してたらあきまへん。あんたのいない間に、あるいは寝てる横で、何しとんのか。作ってくれる食事かて、中身が何かわからんやろ。 風情を感じるタイトルやけど、真正のイヤミス。というよりホラーやね。お化けよりも奥さんの方が怖いんとちゃうか。でもなあ、あんたにも原因あるんやで。2020/07/31
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