内容説明
わたしはあなたがよくご存知のある男の妻です。ひと月以内にその男の死亡通知が届くでしょう。彼は実は殺されるのです。そして殺すのはわたしです。こんな殺人予告状が夫とその四人の知人宛に送られてきた。受け取った五人の男は、自分が手紙の中の条件に合致しているのに衝撃を受け、疑心暗鬼になりながらもなんとか対処の方策を得ようと知恵をしぼる。はたして標的とされているのは、この自分なのだろうか。だが、事態は二転三転。ユーモラスなタッチで描く、ひねりの利いたプロット。出色の長編推理!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
71
どうしてこんなに面白い驚きを与えるプロットを、作り出せるのだろうか。天藤氏は一作毎設定に大変工夫を凝らす作家だが、正にシチュエーション・ミステリーとは本作の事だ。5人の男たちに届けられた、全く同じ文面の妻からの殺人予告の手紙。其々が自分の事では無いと強がってみせるのだが、内心は戦々恐々の状態。これら男たちの描写だけでも愉しく盛り上がるのに、被害者は誰か、という謎解きは思わぬ方へ展開する。物語が瞬時に3回転する様な感じを受ける。終盤の衝撃は更に強烈だ。しかし何処か暖かく居心地が良い、それこそが天藤作品です。2016/10/15
たか
51
天藤真は『大誘拐』が有名だが、こちらも面白い。 5人の男の元へ、妻を名乗る謎の女から『あなたを殺します』という手紙が届く。殺されるのは5人の中の誰か一人。 まさか自分ではあるまいかと会合を開く5人の男たち。皆心当たりがあるため、一体誰が標的なのか疑心暗鬼になっていると、物語は意外な展開へ。 ラストの衝撃度は強烈。しかしどこか暖かくユーモアに溢れているのが、天藤作品の魅力だ。C評価2019/06/27
coco夏ko10角
25
「わたしは夫であるあなたを殺します」五人の男に妻を名乗る差出人YZの殺害予告状が届くように、男たちは対策をとろうとするが…。YZは誰なのか?そもそもYZの目的は本当にそれなのか?とドキドキしてたら二部の始まりに驚き。そのまま最後まで。これ面白かった!創元推理文庫の天藤真作品15冊くらい読んだけどこれは確実に上位。2022/05/13
Tetchy
14
巻措く能わず、とはこのことなのかと今回実感した。今回の目玉はやはり5人の男に送られた妻からの殺人予告状でこれがどの誰を指すのか判らないという点が面白い。しかし作者はこのワンアイデアで最後まで引っ張るのではなく、130ページを過ぎた辺りであっさりと5人の内1人に絞り込む。実はここからが天藤真の天藤真たる所以で、今まで微妙な利害関係で成り立っていた彼(女)らを1つの探偵チームとして機能させていく所がミソ。しかし今回はやはり第3部の存在が賛否を非常に左右すると思われる。私は不要だと思うのだが。2009/06/24
はな
13
「夫であるあなたを殺します」と五人の男へ殺人予告が届き、本命の"夫"はそのうちのただ一人。それぞれが自分なのかと疑心暗鬼する中、まさかの事件が起きる。会話に多少古くささを感じるものの40年前とは思えない作品。どっちなの?どっちなの?と第二部まで読み進め、第三部でぞわり。 男と女は難しい。2015/09/19
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