内容説明
もうこの男の手の届かないところにいる――このフレーズをつぶやくまでに、私はどれほど傷つき、戦ってきたことか。就職が決まらなかった女の子がベストセラー作家にステップ・アップしていく道のりは、身を切るような恋の出会いと別れの日々でもあった。23歳から36歳まで、その人生を決定づける大切な14年間の、愛と葛藤のすべてを一年ごとに描き切った、画期的自伝長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
19
再読。2014年859冊め。2014/10/08
ちーちゃん
14
軽快すぎて、あっという間に読んでしまった🎵初版1997年、23年前に出版された林真理子の自伝的小説。解説の中森明夫氏いわく、80年代のジャンヌ・ダルク…成功したい、すべてを手にいれたいという欲望を口にして実現していった。女性たちは林真理子によってはじめて、自らの欲望を肯定する術を知ったのだと。本作は彼女をモデルにしてるが物語で、したたかさが全面に出てるが、欲しいものを欲しいと真っ直ぐに貫く様が気持ちいい(彼は私のことを愛してない、ただの気まぐれ、でも私は彼が欲しい、どうしても欲しい)選ぶのは私なのだ✨2020/12/04
鳴海
13
バブル全盛期に書かれた、作者の自伝を思わせるお話。自動車電話という名称や、コピーライターが花形職業として登場し、可笑し懐かしく読んだ。自意識過剰の主人公が、学歴や肩書やブランド品に目が眩む様を作者は、「見て分かり易く、人に羨ましがられるモノが好き」と言う台詞で伝える。鼻もちならない女性として表現してあるけれど、コンプレックスを乗り越えて栄光を掴もうと必死な女性の生き様が見える。そして結局は、好きで堪らない男性への固執を拭えない、いじらしい終焉だった。2022/10/29
柳田
13
ずいぶん昔に『野心のすすめ』を読んでくだらないと思ったが、『本を読む女』のおかげで最近ファンになった。代表作はどれなんだろうか。『下流の宴』もよかったが。これは著者の自伝的小説だが、一人称の小説を読む上では欲望と野心丸出しの主人公が、ぐいぐいと駆け上がっていくさまが小気味いい。ちっとも嫌味な感じとかがない。解説にあるように80年代的というか、一昔前の古きよき時代の雰囲気がある。今の人にはきっとこういう小説は書けないのだろう。「私はね、もっともっとエラい人になりたいの」だって、なんて素敵なんだろうか。2018/06/16
扉のこちら側
12
初読。何も持たない女子大生から直木賞作家へ登り詰める林真理子すごろく。2011/11/12