内容説明
温泉地の老舗旅館に、ひょっこり現れた初老の小笠さん。悠々自適の湯治客と思ったら、ある日、湯番を買って出た。湯かげんはもとより、料理、笛に新内、なんでもイケて、物腰もやわらかく、にこっと笑えば名推理。難事件をつぎつぎ解決し、人助けに精を出す。そんな「小笠さん」の正体は……？ たっぷりのお湯と美味とユーモアで、心の底から温まる連続小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
48
ここしばらく旅をしたことがなかったので、この本の中であちこちの温泉につかり、料理を頂いた気分だ。内海さんの観察力と表現力が文字に温度をプラスしているような気がする。初老のスーパー番頭。料理や湯番だけでなく、笛も吹け新内も弾ける。こんなスーパー番頭さんがまた他の温泉地でも大活躍する物語が読みたかった。これからの旅をする時の気持ちをちょっと変えてくれた一冊。2017/04/15
ぶんこ
41
著者初読みですが、すっかり嵌まってしまいました。表紙から江戸時代の物語かと思いましたが、現代でした。６８歳の小笠さんは好奇心旺盛で、ヒョッと訪れた山陰の温泉宿で湯番になりながら、蜆取りに挑戦したり、横笛、新内節、三味線、果てはお茶席の懐石料理まで見事にやり遂げるスーパー老人。好奇心に促されては、玄人はだしにやり遂げてしまうところが凄い。芸は身を助くです。特に印象的だったのが(湯番)。温泉は自然の湯温だとばかり思っていたので、1時間毎に調節しているとは驚きました。これからは感謝して温泉を楽しまなくては。2017/06/06
はる
36
温泉地の老舗旅館にひょっこり現れた初老の小笠さん。湯番をやれば抜群の技。料理に三味線、何でも出来て、難事件もニコッと解決。果たしてその正体は…。小笠さんが余りに何でも出来過ぎてやや興ざめだが、人情味のある肩の凝らないストーリーで楽しめました。温泉地の雰囲気たっぷりで旅行気分を満喫。2017/05/27
500mile
9
初老の主人公とは珍しい。初老が故に人生経験豊かな小笠さん。その経験を生かし、人助けをし、時には子供のような笑顔を見せ、ユーモアたっぷりに人々の虚を突き説き伏せる。風体の上がらない。憎めない。物怖じしない。何でも知ってる。女将は言った。「まるでスーパーマンだ」と。2013/01/15
takana
3
スーパー老人/小笠さんの連作短編集。日本各地の温泉旅館が舞台、小笠さんがさらりと問題を解決していく。 非常に読みやすく、数時間で読了。今すごく温泉に浸かりたい！2015/01/07
