ニコライ遭難

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ニコライ遭難

  • 著者名:吉村昭
  • 価格 ¥715(本体¥650)
  • 新潮社(2013/05発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101117379

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内容説明

明治24年5月、国賓のロシア皇太子を警護の巡査が襲った。この非常事態に、近代国家への道を歩み始めた日本が震撼する。極東進出を目論むロシアに対し、当時日本は余りにも脆弱であった――。皇太子ニコライへの官民を挙げての歓待ぶり、犯人津田三蔵の処分を巡る政府有力者と司法の軋轢、津田の死の実態など、新資料を得て未曾有の国難・大津事件に揺れる世相を活写する歴史長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

99
大津事件の顛末を描く作品。ロシア帝国の皇太子ニコライが世界周遊の旅に出る。その中で日本を訪問するニコライ。明治政府は彼を国賓として最大の歓迎をする。しかし、滋賀県大津でニコライは警護の巡査に襲われ負傷する。ロシア帝国による報復を恐れる明治政府は犯人の津田三蔵を極刑にしようとするが、それは司法の独立を犯すものだった。裁判官達は国内法に照らし津田を無期徒刑とする。日本が法治国家であることを示した瞬間だった。当時の帝国主義の世界を思えば明治政府の恐れも分かる。阿らずに判決を下した司法の気骨を見る。興味深い作品。2022/04/23

ともくん

71
1891年5月11日、来訪中のロシア帝国皇太子・ニコライが滋賀県大津市で、警備中の巡査である津田三蔵にサーベルで襲われた── 当時の日本人のロシアに対する感情は、複雑であった。 軍事大国ロシアに征服されるかもしれないという恐怖。 その中でのニコライの訪日。 『このようなことがあっても、日本人民の好意に対する私の喜びの感情には変わりない』 ニコライのこの言葉は、襲われた後に、なかなか言えることではない。 そして、当時の日本国政府の焦慮、ロシアに対する恐怖が手に取るように分かった。2018/12/09

読特

65
”開花”を迎えようとしていた”まことに小さな国”。北方の大国の皇子来日は国を挙げての大イベント。長崎、鹿児島、京都と旅程は順調に進むが、事件は大津で起きてしまった。国家存亡の危機の騒ぎとなる中、法を捻じ曲げてでも死刑を適用すべきと圧力をかける行政。だが、司法は筋を通す。その後、賠償も請求されず、事は平穏に治まる。治外法権の解消。この決断も”開花”の一躍を担った。…頂点を極めたバブル。その崩壊後の衰退が止まらないこの国。モリカケ桜に裏金問題。忖度を思わせる数々の司法判断。いつのまにか筋が通らなくなっている。2024/10/10

kawa

60
1892年(明治24年)日本を訪問したロシア皇太子・ニコライ親王に対する警察官による斬りつけ事件(大津事件)が題材。物語は長崎・鹿児島・京都における日本側の丁寧な「オ・モ・テ・ナ・シ」。事件後の日本側の狼狽とフォロ-。ロシアの強烈なリアクションを恐れて犯人に死刑を望む政権側と、当時の法解釈では死刑は有り得ないとする司法との確執の三景が描かれる。私的には司法の常識が貫徹されて近代国家の矜持が貫かれたところが読みどころなのだが、政権側の狼狽にも関わらず大事に至らなかった理由の分析もお願いしたいところ。2021/03/01

i-miya

57
2013.12.10(12/10)(つづき)吉村昭著。 12/07 (p032) ギリシャ、ジョージ親王、驚くべき長身。 有栖川宮。 別室には藤井大尉。 復活祭を控え、肉類はでない、日本側には出される。 「アゾヴァ号」から使いの仕官。 皇太子がジョージ親王と随員1名の三人で午後二時、居留地第四号波止場に上陸する、という。 三宮式部次長は快い一刻を過ごさせるよう配慮すべきだ。 護衛。 長崎警察署長嘉悦政建。 大浦八番館、鼈甲店。  2013/12/10

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