内容説明
賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格〈ISOLA〉の出現に、彼女は身も凍る思いがした。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
387
単純な多重人格者によるサイコホラーと思ったら、予想に反して意外なアイデアが含まれており、この着想の妙を手放しで褒めたい。1995年に起きた阪神大震災を上手くストーリーに絡めて、このようなモダンホラーを作り出す貴志氏の着想の素晴らしさ。これがデビュー作だというのだから、畏れ入る。では物語としてはどうかというと、これはさすがにまだ物足りないと云わざるを得ない。筆致もしっかりしているのだが、物語に必要な読者の感情を振幅させる“熱”という物が見えない。特に由香里と真部との出逢いのエピソードが陳腐で失笑物。2010/03/08
nanasi
205
カバーデザインは横尾 忠則さんと田島 照久さんです。解説は収録されていません。貴志祐介さんのデビュー作です。第三回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。怖さはあまり感じず、後味の悪いお話でした。2013/10/05
🐾Yoko Omoto🐾
148
再読。解離性同一性障害の少女「千尋」の中に生まれた13番目の危険な人格が巻き起こすSFサイコホラー。主人公「由香里」にエンパスの能力を設定することで、多重人格の解明やストーリー展開に無理や違和感がない。構成も巧く「ISOLA」の正体など荒唐無稽になりそうでならないところにも筆力の凄さを窺わせる。また科学で解明しきれていない現象はどこか否定できない薄ら寒さを覚えさせ、ラストの恐怖感の演出も見事。ただ、由香里と真部の始まりが余りにもお手軽で肝心のラストへの布石としてやや説得力に欠けるところだけが非常に残念。2014/08/18
chika
137
多重人格の少女 千尋、エンパシーの美女 由香里、雨月物語の磯良、無念の死を迎えた高野弥生の幽体、魅力的なキャラが見事に味付けされ、極上のホラー作品になってます。由香里が自分の職業を告白した下り、特に気に入ってます。^o^ ラスト5行の広辞苑に記載された あくがる の意味がわかった時、この作品の真の怖さがわかりましたʕ⁎̯͡⁎ʔ༄怖っ‼︎ 2017/09/21
ミカママ
133
正直こういうあまりにも現実からかけ離れた内容は苦手。貴志さんの小説で、初めて「合わない」と思った作品でした。彼の代表作のひとつなのに、残念・・・。2013/09/05
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