内容説明
筑豊の廃坑の村。離職者更生の手段として、自分の経験と技術を教えこんだ元スリの耳に、昔の仲間、いまは東京のデパート保安係が囁いた――もっと安全で割りのいい稼ぎがあるじゃないか。かくて結成された窃盗団。大胆巧妙な手口とチームワークを見せる面々とベテラン刑事との虚々実々の駆引き、そして意外な結末。雑草の逞しさで生きる万引き集団の活躍を温かく軽妙に描いた、会心の悪漢小説(ピカレスク・ロマン)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のり お
1
昭和の匂いがぷんぷんしますね。昔だったらこんなことが実際にあったんだろうなあ、なんて思ってしまいました。ユーモラスな雰囲気もあり、アウトローな話なのに、何処かのどかな気持ちになりました。オチも破天荒なのにニヤリとしてしまいました。2014/07/17
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
1
☆×4.5…泥棒、いや違いましたねスリたちが一攫千金を狙おうとチームワークでデパートから反物を掻っ攫うという作品。その前にそのような頭が働くんだったらもう少し別のところに使おうぜ!と言う突っ込みはしないと言うことで…無論悪には栄光、そして墜落があるので、墜落は警察の追跡があるわけです。それでも懲りずに一攫千金を…ここまで彼らが悪だともはや潔く感じますよね。最後にある男が行き着く場所が「ある場所」と言うのも悪と言うものは…と言う旨を遠まわしに言っていてGood!な締め方でした。2012/04/10
MIRACLE
0
万引き窃盗団という設定が面白い。と思ったら、実話を下敷きにしていた。現実の事件に着想をえるというのは安易な方法で、まともな作家ならやっちゃいけない。結末の処理にも不満が残る。本書をふくめ、この作家はいろんなジャンルに手をつけている。しかしどれも中途半端だ。2011/10/26
萌木のおやじ
0
スリ師が主人公、というと中村文則の「掏摸」がありますが、そちらを「ノワール系」とすると、こちらは「ピカレスク系」になるかと。「大衆娯楽小説」らしく楽しめます。2020/01/01
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