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内容説明
ロンドンは広大な土地を持つ地主たちにより、エステートごとに開発されてきた。公園やストリートの名前からは地主や開発に携わった人物が読み取れる。彼らはまとまった土地を全体として有効に活用する町づくりができる立場なのだ。エステートと建築の由来を追い、特異な発展を遂げてきた巨大都市の形成史を知る。
目次
1 ロンドンをよこに歩く
2 ロンドンをたてに歩く
3 クラブの世界
4 町のなりたち
5 ジョージアンからヴィクトリアンへ
6 ロンドンの消滅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鵐窟庵
7
本書は稀代の建築史家がロンドンの都市の成立過程を歴史・都市計画・不動産側面から詳解。ヒースローから市街地へ向かう紀行文的構成になっており、チズウィックハウスなどのカントリーハウスやロンドン郊外住宅の系譜の歴史的考察から、中心部へ近づくにつれロンドンの広場の3つの形態ースクエア、サーカス、クレセントの成立経緯、さらに都心部へ向かうにつれ4つの不動産権の種類の解説、そして歴史的なロンドンの地権者に見られる都市経営・開発・計画について書かれる。歴史的旅行を共に体験する如き濃厚な筆致、惜しむらくは参考文献の記載。2020/06/14
牛歩
4
以前よく理解できずに投げ出した本なのだが、しばらくイギリス関連の本を読んでから再挑戦したら面白く読み通せた。ヴィクトリア朝あたりの基本知識を仕込んでから繙くと分かりやすいかも。/ロンドンを西→東、北→南と概観し、その開発を行った人々をクラブというコミュニティから語り、町と地主の関係へと繋ぐ。読み進めるうちに腑に落ちる良い構成の本。2012/10/13
コカブ
2
建築家の著者が描くロンドンの物語。ロンドンは、元々街(シティ)の周りに貴族の荘園が広がっていた。現在は都市化して見えなくなっているが、今でもロンドン市街地の一部には大地主(貴族だったりする)が所有する旧荘園があり、例えばグロヴナーエステートがある。リージェントパークと南に延びる大通りは、王室主導で開発された。このようにロンドンは大地主が街の開発を行った点に特徴がある。周辺住民しか入れない公園があったりするのは、この反映だ。逆に一定地域がまとまって開発される事になるので、統一性・永続性ある街作りが行われた。2016/11/18
k
1
ジェーン・グレイ、ウィリアム・モリス、ハマースミス・オデオン、オスカー・ワイルド、スコットランド・ヤード、辰野金吾、ワッツ、レイトン、切り裂きジャック、ジョサイア・コンドル等々、馴染みのある単語が出てくるので楽しく、紀行文のように読んでしまったが、地主たちの開発してきたロンドンの歴史、面白かった。ディレッタンティ協会の、趣味人たるものの話は特に。紹介されているところを歩き回りたい。2021/04/07
Naota_t
1
★3.1 土地の管理は、国や地域によって様々だが、ロンドンのそれも特殊だ。特に地主の権力が強く、そこに貴族制の名残などもある。それが都市デザインの成り立ちにも深く影響している。目には見えないが、ロンドンはエステートで成り立っていると行ってもいいくらいだ。ロンドンの地図がやたらわかりづらいのもその所以である。特に興味深かったのは、ロンドンの「クラブ」の存在だ。その人がどのクラブに入っているかで格を測り、様々なジャンルのクラブがあり、大抵は紹介制で人数にも限りがある。日本でいう「講」のようなものだろうか?2018/12/31