内容説明
文部省が第二次大戦後、子供たちに「民主主義とは何か」を教えるために作成した教科書。
現在は使われていないが、その内容は現代に於いても普遍的に通用する。
むしろ、「話し合い至上主義」「教師という専制君主の下での疑似民主主義」を行う現行教育に比べれば、はるかに正しく民主主義の根本を説いている。
この本がなぜ現在も教科書として使われていないのか、なぜ民主主義を教える授業が編成されていないのか、など現代教育に対して疑問を抱くところである。
これからの日本を担う世代である、中学生や高校生に是非とも読んでもらいたい一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルカリオン
10
難解さはないが本格的な大著で名著。これが中学・高校の教科書(1948-1953年)ということに驚く。英訳して海外に紹介したらいいのではないかと思うほどの出来。2022/05/01
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
8
戦後間もない頃にこのような教科書が編まれていたとは知らなかった。幸い一般の書店から復刻されていたので図書館で借りて読んでみた。当時も上下巻だったという本書は、その分量も含め中々手強い。TVがなく、ラジオもNHKのみなど時代的な古さはあるものの、その内容は今読んでも少しも古びていない。本書は、民主義を政治制度としてのみでなく、労働問題や資本主義の問題とも関わる国民生活全般に渡る問題として捉えて書かれている。ほんの少し書き直すだけで、現代でもそのまま使える民主主義入門書になると思う。多くの人に読んでほしい。2015/07/26
世話役
4
戦後、民主主義の考え方を啓蒙すべく編まれた国定教科書。廃刊とされたため、現在は民間の出版社が復刊・発行している。本書を読むと、昨今言われているような現行憲法悪玉論的なものの見方を当時の国や人々が共有していたのか疑問に思えてくる。むしろ、国の方から率先して現行憲法を活かすべく、国家主義に対するものとしての民主主義の発想を理解し、広めようとしてさえいたのではないかとの思いが生じる。改憲論が盛んな昨今、考えるための一助として是非読んでもらいたい一冊。
読書家目指すで
3
正直何度も繰り返し表現が多く、だらだら読んでしまった。もとは教科書だからであろう。仕方がない。芦部憲法と併せて読むと尚よいかも。日本人自体、憲法や主権在民であったり民主主義の理解が成熟していないから。日本社会がデモ自体を冷めた視点で見るのもそういう証拠。2016/03/11
ことぶき あきら
2
文部省著作。名著です。素晴らしい。有権者の皆さんには是非読んでほしい。選挙権年齢の18歳への引き下げに際して、模擬投票とかいろいろやってますが、本書を読むのが民主主義の精神のなんたるかを理解する上では一番良いと思います。本書はもともと昔の中高の教科書でした。政策の良し悪しを考えるというのは、民主主義の精神を理解して、その次の話です。「人間が自分自身を尊重し、互いに他人を尊重しあうということは、政治上の問題や議員の候補者について賛成や反対の投票をするよりも、はるかにたいせつな民主主義の心構えである。」2016/12/23