内容説明
誰だって、殺したい人間の一人くらいいるだろう。都会の薄闇にいざなわれ、さまざまな男と女が織りなしてゆく数々の嘘、夢、罪。そして心の迷宮に見え隠れする、ひそやかな殺意――。突然姿を消した男の行方を探る表題作ほか、つぎつぎと宿泊客が死んでしまうホテルの一室を描いた「自殺ホテル」など、男と女の間にひっそりと横たわる心の“逢魔が時”を描いた、ミステリー小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIKETOM
7
「旅の終わり」は松尾芭蕉の奥の細道の行程を辿りながら旅する男に雑誌記者がインタビューする話。旅の途中だんだん老人ボケを発症するようになり、衝撃のラストが…。これはナポレオン狂だかに収録されている「甲虫の遁走曲(フーガ)」と同じオチ。ただし扱いは全然違うけど。精神が少しずつズレ始めている人間の思わぬ狂的な行動の恐ろしさが肝。「姉弟」迷惑な姉に振り回される弟。姉の正体がわかった時のやりきれなさが何とも言えなくて…。「慶州奇談」熱にうなされた時の幻覚のような現実のような間での体験。こういうの阿刀田は得意だな。2018/09/07
とりぞう
4
この著者の「知っていますか」シリーズの底の浅さに辟易。まあそれがこの著者のレベルなんだなと感じている。大昔(1980年台)、単純に読書冊数を増やすためだけに、本著者の本をたくさん読んだ。「読む」ことに「意味」を感じたい人には薦めない。個人的に。2022/03/19
takaC
3
1995年1月読了。1999/01/01
kkag
2
ミステリー短編集。夢と現実が曖昧になる書き方の話が多く、高校の頃に読んだ夢十夜のイメージに近い。真実は曖昧になされていることが多い 。内容自体は殺人に関するもの。おもしろい!というよりは、ぼんやりしたときに、ぼんやりよむのがよいかも。心地よいかんじ。話自体はすべて短いので読みやすいです2022/05/15
yomineko@猫と共に生きる
2
何か全部不思議な物語だった。自殺ホテルと慶州奇談が特に面白かった。2017/11/04