内容説明
片隅に生きる職人の密かな誇りと覚悟を顕彰する「冬の声」。不作のため娼妓となった女への暖かな眼差し「おまんが紅」。一葉研究史の画期的労作『一葉の日記』の著者和田芳恵の晩年の読売文学賞受賞作「接木の台」、著者の名品中の名品・川端康成賞受賞の短篇「雪女」など代表作14篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
euthanasia
1
どの短編も素晴らしいが、中でも両親のことを書いた私小説的作品『母の寝言』。淡々とした筆致で物凄い修羅を描いている。完全に彼岸の文学。2013/11/28
Hisashi Tokunaga
0
「大田文学ってどう」;「接木の台」=筆者が後年住んでいた長原駅周辺の描写を背景に主人公が登場。長原商店街が戦後闇市の名残だったことを知る。どんな闇市だったんだろう?闇市のメッカ大井や蒲田に買い出しに出られない人たちのマーケットならそんなに大きくは無いはず。千束あたりからも買い物客が来てたのかな?大田文学としては、五反田に向かう電車での出会いから始まる小説のプロローグとして長原の描写を評価するのは、主人公がここ長原にしっかり棲みついた住人であることを疑いのないモノにしているという事だ。2014/06/29