文春文庫<br> トラッシュ

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文春文庫
トラッシュ

  • 著者名:山田詠美
  • 価格 ¥815(本体¥741)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167558017
  • NDC分類:913.6

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内容説明

人を愛した記憶はごみ(トラッシュ)のようには捨てられない。それがどんなに苦しんだ記憶でも。黒人男性・リックに恋をし、彼の連れ子のジェシーとぶつかりながらも、三人で暮らす日本人のココ。しかし、ココから逃げるように、リックは毎晩酒びたりになる。献身的に彼に尽くすココ。だが、求めれば求めるほど彼は遠くなる……。愛し合っているのに、なぜお互いを傷つけてしまうのか? 人を愛することの奥深さと幸福を再確認させてくれる著者渾身の長篇。女流文学賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

408
久しぶりに読む山田詠美。そのせいもあってか、これまでの彼女の作品とは印象がかなり違う。もちろん、共通点も多々あってのことだが。何が違うのかと思えば、主人公のココが自身や他者の行動を分析、逡巡することにある。とりわけリックに対してがそうであり、またランディに向かうあり方においても躊躇いを捨てきれない。畢竟は、彼女が自分の感情を把握できていないことに行きつくのだろう。そして、ここで"愛"と語られるものの実態が揺らぎだし、私たち読者もまたある種の懐疑の中に投げ込まれるのである。2020/07/11

ゆゆ

41
ずーっと昔、高校生の頃か?に読んだけどあらすじはほぼほぼ忘れていたので新鮮な気持ちで読了。NYに住む日本人女性と黒人男性の愛憎を描いた作品。愛するって簡単なのか、難しいのか?なんだかわからなくなってしまう。10代のわたしはこれを読んでどう感じたんだっけ…十分オトナになった今でも難しいのに。人種やLGBTや今もなお続く問題もはらんでいて山田詠美だからこそといった感のある作品。「放課後の音符」も再読したくなってきた。2017/12/02

ゆか

37
今まで読んだ著者の作品の中では一番の長編だったせいか、イメージが変わった。男女の心の恋愛をガッツリ描いた作品になっていて、相変わらず日本人と黒人の恋愛を描いた物語ではあるけど、頭の中では全員が日本人ってな位の自然さ。確かに好きと放っておけないって感情は自分でもどちらの感情なのか理解できないのかもしれないな〜と思えた。バッキーの様な親友に恵まれ、優しすぎる恋人に恵まれた主人公。でも恋愛をしている限り、不安だらけなのも納得。いいお話でした。2015/10/27

James Hayashi

33
女流文学賞受賞作。ニューヨークで魔弾なく繰り返される恋愛と人間劇。筆は細かく女性の恋愛感情を描き出している。日本女性が愛人とその息子と暮らすが空気感は薄い。熱くなるのは中盤から。彼女を愛するのは年下の蒼い学生。しかし恋愛話しで終わらず、それぞれの人間を深く刻み込む用に描いていることにこの作品の意義があると思う。女性読者の方が響くと思うが、男性でも一読に値する人間劇。2019/05/04

Wisteria

19
10代の頃、一番影響を受けた作家は山田詠美だった。でも今思うと全然解ってなかったなぁ。『トラッシュ』は自分には早いと思って暖めている内に忘れてしまっていた。そして読んで、深く共感している自分に驚いた。いつの間にか私なりに人生経験積んでいたんだと。自分がどれくらい変わったのか教えてくれる稀有な小説。今は上手く感想が言えない。名言が散りばめられたこの小説をまた読み返したい。ただ一つ気になるのが英語のふりがな(?)。カッコイイつもりなんだろうけど薄ら寒い。2015/09/20

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